両替商、安宿、インド料理店などが混在する多民族雑居ビル「重慶大廈(チョンキンマンション)」
重慶大廈の正面入口
香港に到着したら、まずは両替。できるだけレートが良く、手数料がかからないのが理想的ですよね。尖沙咀にある雑居ビル「
重慶大廈(チョンキンマンション)」には、そんな条件を揃える両替商が入っています。正面入口を入ると通路の両側に両替商がずらりと並び、その奥には雑貨屋や食料品店が、2階に上がればインド料理店が軒を連ね、館内にはスパイスの匂いが漂っています。入口から一見するだけでは分かりませんが、実はこの建物、A座からE座までの5棟が連なる形で構成されていて、それぞれの棟のほとんどの階をゲストハウスが占めているのです。
ゲストハウスが集まるバックパッカーの聖地
レートの良い両替商と安宿が集まっていることから、ここはバックパッカーの聖地として世界的に有名です。沢木耕太郎氏の著書『深夜特急』のドラマ版で、大沢たかおさん演じるバックパッカーの主人公が香港の旅の拠点とするのも、ここ重慶大廈。撮影されたのは、B座9階の快楽招待所(Happy Guest House)だといわれています。ちなみにクルーが宿泊したのはB座の3階の龍匯賓館(ドラゴン・イン&ドラゴン・ホテル)で、受付に大沢たかおさんのサインが入った写真が飾られています。
映画のロケ地としても有名
ドラマだけではなく、重慶大廈はかつての混沌とした香港を象徴する場所として、たびたび映画の舞台にもなっています。中でも有名なのは、ウォン・カーワイ監督が1994年に手がけた『恋する惑星』、1995年に発表した『天使の涙』。『恋する惑星』の冒頭シーンが撮られたのは、まさに重慶大廈の館内。『天使の涙』で登場するゲストハウスはA座4~5階にある重慶招待所(Chungking House)です。
2006年に改装され警備も強化
2006年に改装され大スクーンが設けられた
重慶大廈が建設されたのは1961年のこと。かつて「東洋の魔窟」と呼ばれたスラム街・九龍寨城と並び、その怪しい雰囲気で知られていましたが、2006年には正面入口の左手にエスカレーターが設けられショッピング&グルメフロアを展開。ビル外観には大型スクリーンが取り付けられるなど大規模な改装がされ、イメージが一新されました。治安面では、A座3階に警備員詰所が設けられるなど警備が強化がされ、以前よりも明るく入りやすい雰囲気になっています。「泊まるのはちょっと勇気がいる」と思う人も、両替やショッピングでちょっとだけのぞいてみてはいかがでしょうか。
立地の良さも魅力のひとつ
改装前の重慶大廈
重慶大廈が位置するのは、九龍半島随一の繁華街・尖沙咀。メインストリートであるネイザンロード(弥敦道)沿いにあり、MTR(地下鉄)「尖沙咀」駅D出口から徒歩すぐの場所で、香港に渡るスターフェリー乗り場までも徒歩10分ほどでたどり着けます。
アベニュー・オブ・スターズや時計台など主要観光地にも徒歩圏内。周囲にはザ・ペニンシュラ香港やインターコンチネンタル香港、シェラトン香港ホテル&タワーズといった高級ホテルがある。そんな一等地にあるのも魅力のひとつです。
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重慶大廈
住所:36-40 Nathan Rd, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Hong Kong
アクセス:MTR(地下鉄)「尖沙咀」駅D出口から徒歩すぐ