事業所や会社に対する支援制度
自然災害で会社経営に支障が出ると、税金の軽減や還付も
■法人税の軽減・還付
東日本大震災では、損害を受けた棚卸資産・事業用資産等について、損失額を震災前年の平成22年の事業所得から必要経費として差し引いて税額計算できました。また、震災による損失額を前2年以内の事業年度の所得金額に繰り戻し還付請求できました。窓口は最寄りの税務署です。
■社会保険料・労働保険料の納付期限延長・猶予
東日本大震災では、指定地域に住所を有する事業主などにかかる労働保険料や社会保険料の納付期限が延長されました。賃金の支払いに著しく支障が生じた事業所は、社会保険料の免除・猶予が可能になりました。窓口は最寄りの労働基準監督署または年金事務所です。
■雇用保険関係助成金の特例措置(窓口は住所地のハローワーク)
「雇用調整助成金」
経済的事情で事業縮小を余儀なくされた事業主が、雇用維持のため休業を行う場合、休業手当の一定割合を助成。東日本大震災の災害救助法適用地域に所在する事業所の事業主については、助成金の支給対象期間が延長されました。
「被災者雇用開発助成金」
東日本大震災による離職者および被災地域の求職者を雇用(パートも可)した事業者に助成金を支給。
「成長分野等人材育成支援奨励金」
中小企業事業主が東日本大震災による被災者を新規雇用・再雇用し、職業訓練を行う場合、訓練費の一部を助成。
「3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金」
「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」
震災特例専用求人(被災した卒業後3年以内の既卒者を対象とした求人)で正規雇用した事業者に最大10回まで奨励金を支給。
「被災県内における実習型雇用支援事業」
東日本大震災で失業した被災地居住の就職希望者を、被災県の事業者が実習型雇用として雇い入れた場合、実習期間中および正規雇用後の両方で奨励金を支給。
■天災融資制度
天災によって被害を受けた農林漁業者や法人に、再生産に必要な低利の経営資金・事業資金を融資。東日本大震災では貸付金を無利子化。融資限度額は個人事業者の場合、損失額の45(甚大60)%または200万(甚大250万)円のうち低い額、法人の場合損失の45(甚大60)%または2000万円のうち低い額。窓口は市町村です。
■災害復興特別貸付
被災して直接・間接被害を受けた中小・小規模企業に対し、事業復旧のために政府系金融機関が資金を貸し付ける制度。窓口は日本政策金融公庫、商工組合中央金庫です。
■災害復興緊急保証
中小企業が金融機関から融資を受ける際、信用保証協会が100%債務保証をする制度。保証限度額は1億6000万円、最大5億6000万円まで一般保証とは別枠で保証。保証料率0.8%以下。窓口は各都道府県などの信用保証協会です。
従業員も会社経営者も、災害によるピンチを乗り切るために、以上のような公的支援をできる限り活用しましょう。
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