不動産を証券化する目的 (続き)


ところが、バブルが崩壊し、地価が下がり始めると、不動産の資産価値が年々下がるようになりました。
また、借金をして不動産を購入していた企業の場合には、利息支払いが本業での利益を圧迫するようにもなりました。

加えて、国際化や景気の低迷傾向などの理由から、より強い企業への様変わり・構造改革が、世の中から余儀なくされるようにもなりました。

こうした状況を背景に、資産、とりわけ金額が大きい不動産のオフ・バランスが叫ばれるようになりました。

では、ある企業が不動産を売却によりオフ・バランスしようと考えたとして、今のように不動産不況の下で、買手はいるのでしょうか?

もちろんいるかも知れませんが、スムーズに買主が見つかるとは限りません。
また、本社ビルや支店店舗、工場など、“不要資産”ではなく、経営活動に不可欠な資産の場合には、これを売却してしまうと、経営自体が成り立たなくなってしまいます。

そこで、証券化をすることにより、不動産のオフ・バランスを図ると企業にとって都合がいいのです。

SPCの設立


オフ・バランスを図りたい企業は、SPCという種類の会社を作り、そこに不動産を売却して、身軽になります。
企業では、この売却代金を借金の返済に充てたり、リストラの原資(元手)とすることができます。

SPCは、”優先出資証券”という株式会社の優先株にあたる証券や”特定社債”という株式会社の社債に相当する証券を発行して、投資家を募ります。
この他、必要に応じて、“特定約束手形”や“転換特定社債”、“新優先出資証券引受権付特定社債”といった証券を発行することもできます。

SPCが解散する際、投資家は資産の分配を受けることができます。

こうして、不動産の表面的なオーナーがSPC、実質的なオーナーが優先出資証券、特定社債等を購入した投資家へと替わります。

SPCという器を作り、不動産の所有権を移転させる理由はいくつかあります。
最大の理由は、投資家の保護です。企業からSPCへと売却された不動産は、企業の名義からSPCの名義へと移転します。そうなると、万が一、元の企業が倒産でもするような事態に陥ったとしても、SPCへと売却された不動産へ債権者等の権利が及ぶことがなくなります。

したがって、元の企業の経営成績とは関係なく、投資家は安心してSPCの発行する証券を購入することができるのです。

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