消費税アップ前の駆け込み需要に乗るべきか?
増税前に家を買おうとする人が増えれば、結局は増税分と変わらないくらい不動産価格が上がる可能性も
土地が2000万円で建物が1500万円の、合計3500万円の不動産を購入したとします。消費税は土地ではなく上モノにかかるので、現在は1500万円×5%=75万円。7%になると、30万円アップの105万円。10%になると倍の150万円です。
ほかに、登記費用や仲介手数料などの経費も、消費税アップの影響を受けます。
これを回避するため、増税前に買っておこうと判断をする人が増えると、不動産価格は上昇します。また昨今は売り手も強気になっていて、特に中古物件では、指値などの値下げ交渉に応じなかったり、高めの売出価格を設定したりするケースも増えています。
すると、結果的には増税分と変わらないくらい上乗せされた金額になってしまうということも起こりえます。
増税後の反動下落もありうる
増税前の駆け込み消費が増えるということは、反動の落ち込みも大きくなる可能性があります。とはいえ、不動産業者は消費税がどうなろうと食べていかなければならないので、「反動で売れない」なんて言い訳はできません。そこで、値下げしてでも売り上げを確保しようと考えます。仲介業者であっても、「今はこのくらいの値段じゃないと売れないですよ」と売主に値下げの説得を試みるようになるでしょう。
そう考えると、増税分は値下げに使われ、やはり増税前と変わらない金額に落ち着くかもしれません。
リフォームなども、相見積もりを取って比較検討すれば、値下げ合戦によって割安にできるでしょう。
ということは、消費税の増税そのものは、不動産購入の意思決定の根拠にはなりにくいと考えることができます。それよりもむしろ、必要性と返済の意志の強さのほうが重要でしょう。
金利上昇に巻き込まれてはいけない
インフレ政策で気になるのは金利です。投資物件でも自宅でも、ローンを組んで取得する場合には、今後の金利動向に注目しておく必要があります。金融緩和は目先の金利引き下げ圧力となりますがが、インフレとなれば長期的には金利上昇を招く可能性があります。金利が上昇すれば、変動金利でローンを組んでいる人は、返済額が上昇します。
また、国債価格の推移も気になります。インフレは、国債の投資家にとってはパフォーマンスの低下となるため、国債を売って株式などのリスク資産に資金を振り向けようとすれば、国債価格の下落により金利上昇を招くでしょう。
将来的な国債暴落による金利急上昇を指摘する専門家もいます。もちろん可能性はゼロではないですが、当面は日銀が引き受けること、国債の利払い負担などを考えると、すぐに金利が大幅に上昇する、もしくは上昇し続けるという可能性は高くないと思われます。
金利上昇に備える住宅ローンの組み方
今後の金利動向の判断が難しい場合は、一部を固定、一部を変動という2本立てで住宅ローンを組む方法もあります。たとえば3000万円の住宅ローンなら、2000万円をフラット35の全期間固定で、残り1000万円を民間金融機関の変動で組む、などです。これなら固定の安心感と変動の低利という両方のメリットを受けることができます。
あるいは、タイミングをずらすという方法もあります。こちらも2本立てのローンで、1本は変動で早期に完済する年数で、もう1本を固定金利で長めの期間にしますたとえば固定部分は35年で、変動部分は10年で組むというふうに。
この方法で、子どもの大学進学直前に1本めが完済するようにしておけば、教育費がかかる時期に返済額がぐっと少なくなり、ゆとりが生まれます。あるいは50代後半になったら収入も減るという会社であれば、その前に1本めを完済するように組んでおくと、余裕を持つことができます。
とはいえ、やはり多少の金利上昇は想定しておく必要があります。この低利が永遠に続くことはありませんし、インフレ政策が成功すれば、上げ幅はともかく、金利上昇は免れられないからです。
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