不動産の「小口化商品」について検討しましょう |
小口化といいましても(一口50万円~60万円台が主流であるJ-REIT(不動産投資信託)のおよそ10倍の)500万円が1口当たりの販売価格となる商品が主流となります。
(小口化というには多少厳しいような?)1口500万円の投資額は、他の投資商品と比べてもやはり大きな額といえるでしょう。
現在販売されているファンドにおいては、販売元の“対象不動産の長期的な収益力をみきわめている”との主張からうかがえる結果のように元本500万円に対して毎年3~4%程度の利回りとなっています。
小口化商品は、安全型の預貯金に比べ高利回りの商品の1つといえますが、投資額の大きさにともないリスクの大きさの可能性も決して低くはないものです。
そのため小口化商品に投資する前に注意すべき点の確認は必要不可欠といえるでしょう。
元本・分配金の保証はされていませんが・・・
小口化商品の分配金の原資は対象不動産から生ずる賃貸事業収益です。そのため経済的要因や賃貸事業にともなう資質等により変動の可能性も存在します。賃貸事業の実績に基づく分配が基本ですので、元本及び分配金の保障はされている訳ではない商品なのです。
また、地震や災害において対象不動産が倒壊するなどの“不動産特有のリスク”も存在します。このような場合、事業は終了となりますが(直前の基準時の評価額に応じ規定以上である場合は)出資金返還がされる対応がとられます。
小口化商品とREITの比較
小口化商品もREIT同様に投資の対象は“不動産”そのものです。そのため他の金融商品とは異なる“不動産の特有のデメリット”も存在します。
小口化商品は、投資家が任意組合に出資する形で投資を行い事業収益は配当として還元されます。配当を受取るという点ではREITと同じですが、多くのケースにおいて単一の不動産の小口化のため(REITに比べ)分散投資はされにくいという点はみられるでしょう。
また、REITは(東京証券取引所に上場している投資法人の投資口を購入するもので)市場で売買されるため小口化商品に比べ換金性が高いといわれてきましたが、小口化商品においても近年販売されているファンドは売り主である組織母体の買い取り(一定期間経過や数%の手数料が必要な場合もあり)により随時解約に応じる「オープンエンド型」の特徴を取り入れるなど商品の性質が柔軟化されつつあり「換金性の悪さ」は指摘されにくい状況へと変化しつつあります。
そして、小口化商品は一棟数十億円の賃貸事業へ一口数百万円の出資による多くの共同オーナーの運用であるため、物件の転売や解約においては、それなりの条件や制限が必要とされるなどのデメリットが存在します。
高い透明度による仕組で
不動産の小口化商品に関する投資家の保護を目的とし施行された“不動産特定共同事業法”により小口化商品の販売を許されているのは経営内容において厳しい基準をクリアした事業者のみです。(当該事業を行なう業者を許可制にし、許可条件として財産の管理、運用状況等の報告、更には標準契約書を備えることを規定するなど厳しいものです。)確定した賃貸売上げや分配額(配当金額)についても監査法人のチェックを必ず受けなければなりません。そのため元本保障のない商品ではありますが、販売元の行なう仕組は“不動産特定共同事業法”によるものであるため透明度は非常に高いものといえます。
小口化商品は“不動産特定共同事業法”の規制緩和(最低出資額の制限、第3者への譲渡解禁など)の流れとともに投資家のニーズに合わせてリニューアルを繰り返しつつあります。
不動産投資市場においては出資持分の販売情報を交換する共同販売市場の創設予定などもあり、今後の小口化商品の発展においても期待がされつつあります。