個人投資家の資金流入が続いていた米国REITファンド

堅調だった米国REIT市場に変化が?

堅調だった米国REIT市場に変化が?

リーマンショック後、QE1~QE3と大胆な金融緩和を継続して行ってきたことから、米国の長期金利は3%台から1%の前半まで低下しました。その反面、米国REIT市場の予想分配金利回りは4%台を維持、その後3%台へ低下したものの、長期金利の低下ほどは低下しませんでした。

さらに、米国経済の回復とともに米国の不動産市況が回復したことから、米国REIT市場への投資家の資金流入が加速しました。

米国REIT市場は堅調であったものの、為替が円高基調であったことから、米国REITファンドの運用成績は良好とはいえない状況が続いていました。ところが、運用成績を相殺していた円高がアベノミクス効果で払拭されたことから、過去6カ月の騰落率は日本株ファンドと肩を並べるくらいの良好な状況となっていました。フィデリティ投信のフィデリティ・USリート・ファンドなどは、一時期新規募集停止となるほど人気を博していたのです。

基準価額は堅調に推移、毎月の分配金も相対的に高めのファンドが多いことから、個人投資家の資金流入が続いてきた米国REITファンドですが、足元、投資環境が変調をきたしていることには注意が必要です。言い換えれば、新規投資はやや慎重になったほうがよい雲行きとなりつつあります。

米国REIT市場は長期金利の上昇により急落

米国REIT市場の代表的な指数である「FTSE NAREIT Equity REITsインデックス(トータル・リターン、米ドルベース)は、2013年5月21日の終値から6月20日の終値にかけて15.9%も下落しました。

この下落を受け、わが国で1番純資産総額が多い新光投信の「新光US-REITオープン」の基準価額は、同時期に5748円から4677円と18.6%の下落。純資産総額第2位のフィデリティ投信の「フィデリティ・USリート・ファンドBコース(為替ヘッジなし)」は、同期間に6876円から5626円と18.2%の下落となっています。両ファンドともに、為替をヘッジしていないことから、短期的な円高/米ドル安の影響もあったと思われますが、かなりの下落率といってもよいでしょう。

米国REIT市場が大幅に下落した理由には、長期金利が上昇に転じたことが挙げられます。2012年6月に底を打った米国の長期金利は、緩やかに上昇して2013年2月には2%台に上昇したものの、その後低下に転じ5月には1.6%台に低下したのです。しかし、米国のバーナンキFRB議長が5月22日にQE3の縮小を示唆する発言をしたことから、長期金利は急騰。6月25日には2011年8月以来の2.6%台まで上昇してしまったのです。

REITは、日本、米国問わず投資家の資金と借入金をベースに物件取得を行っています。このため金利の急騰は、借入金利負担の上昇懸念、ひいては収益を圧迫する要因として、投資家に敬遠されやすい材料となるのです。

足下、FTSE NAREIT Equity REITsインデックス(トータル・リターン、米ドルベース)の予想分配金利回りが3%台であることから、長期金利と米国REITの予想配当利回りの差は1%を下回ってきていると考えられ、利回りに着目した投資資金が米国REIT市場に流れにくい状況となっているのです。

今、米国REITの新規投資は控えたほうが懸命

6月最終週から市場は安定化に向かっていますが、米国の長期金利はやや高止まりしている感があります。また、米国の住宅ローン金利の上昇により、米国住宅市場は金利上昇前の駆け込み需要が起こっているという予測も台頭しています。米国不動産市場はこれまでの快晴という状況から、やや雲が出てきた状況に変わりつつあるのかもしれません。

米国REITファンドの基準価額下落を加速していた円高にはブレーキがかかったものの、投資対象である米国REIT、ひいては米国不動産市場にやや陰りが台頭しつつある以上、新規投資にはこれまでよりも、少し慎重になったほうがよい気がしてなりません。

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