働き方の変化と公的年金の関係
働き方の異なる同い年の女性の事例を比較します
●第1号被保険者
国民年金のみに加入する自営業者、フリーランス、学生などで、第2号被保険者・第3号被保険者に該当しない人(20歳~60歳)
●第2号被保険者
厚生年金に加入している会社員(正社員)や、共済年金に加入している公務員と私立学校教職員
●第3号被保険者
第2号被保険者に扶養(年収130万円未満等の条件有)されている配偶者(20歳~60歳)
第1号被保険者と第3号被保険者は国民年金のみに加入し、第2号被保険者は国民年金と厚生(共済)年金の2つの制度に加入します。このため、転職や退職で働き方が変わると被保険者の種別が変わるだけでなく、将来受給する老齢年金にも影響します。
女性は、結婚や出産などで働き方が変わるだけでなく、配偶者の職業によっても被保険者の種別が変わることがあります。女性に多くみられる公的年金の加入パターンで、将来の老齢年金がどのような年金になるのか同じ年齢の女性の3つの事例でみてみましょう。
【事例1 結婚後も共働きする場合】
A子さん(昭和48年4月2日生まれ、40歳)は、大学を卒業後、現在の勤務先に就職しました。会社員のA男さんと結婚して子どもを2人出産しましたが、出産後は育児休業を取得して職場復帰し、このまま60歳の定年まで勤務するつもりです。また、定年後は再雇用制度も利用できるので、65歳まで働き続けようと思っています。なお、A子さんは学生時代も国民年金に加入し、再雇用後も厚生年金に加入する予定です。A子さんは65歳までの公的年金の加入歴は、次のようになります。
なお、A子さんは、出産後、育児休業を取得しています。育児休業期間中は保険料の負担が免除されますが、年金額の計算においては育児休業前の保険料を納付していたものとみなされるため、受給額には影響がありません。ただし、職場復帰後、短時間勤務を利用し、給与が見直された場合、保険料負担は軽減されますが老齢厚生年金の受給額は減少することになります。
【事例2 自営業者と結婚した場合】
B子さん(昭和48年4月12日生まれ、40歳)は、大学を卒業後、民間企業に就職し、30歳のとき自営業者のB男さんと結婚して退職しました。結婚後はB男さんと家業を営んでいます。結婚後、B子さんは自営業者になったので、第1号被保険者として国民年金に加入しています。また、学生時代も国民年金に加入し、会社員時代は厚生年金に加入していました。今後は60歳まで国民年金に加入し、保険料を全期間納付します。B子さんの公的年金の加入歴は、次のようになります。
【事例3 会社員と結婚後、専業主婦になった場合】
C子さん(昭和48年4月25日生まれ、40歳)は、大学を卒業後、民間企業に就職しました。28歳で会社の先輩で2歳年上のC男さんと結婚して共働きをしていましたが、30歳で第1子を妊娠したときに会社を退職しました。退職後は専業主婦で、再就職するならパートなど短い時間で厚生年金に加入せず、夫の扶養の範囲で働くつもりです。
現在、C子さんは会社員の夫に扶養される専業主婦なので、第3号被保険者として国民年金に加入しています。また、学生時代も国民年金に加入し、会社員時代は厚生年金に加入していました。なお、C男さんは60歳で定年を迎えた後65歳までは再雇用制度を利用して働く予定(厚生年金加入)なので、C子さんは60歳まで第3号被保険者として国民年金に加入することになります。C子さんの公的年金の加入歴は、次のようになります。