女性は働き方が変わることで公的年金にどのような影響があるのかみていきます
女性は一般的に結婚や出産といったライフイベントを迎えるときに、働き方をどうするのか選択しなければいけない状況になりがちです。働き方が変わると、公的年金の被保険者の種別の変更を伴う場合があります。このため、女性は男性に比べて、公的年金の加入履歴が複雑になる場合があります。今回は、働き方と公的年金はどうかかわるのか、女性の就労の現状とあわせてご案内します。
<INDEX>
・女性の就労の現状
・働き方の変化と公的年金の関係
・第3号被保険者、やはり有利?
女性の就労の現状
年齢ごとの労働力率(年齢別の人口に占める労働力人口の比率)をグラフ化すると、日本女性のグラフは「M字型カーブ」を描くといわれます。日本女性の労働力率は学校卒業直後の年代でピークに達し、その後結婚・出産の時期に減少、子育てが一段落すると再び上昇する傾向にあり、この推移がアルファベットの「M」の字に似ているため、そういわれています。平成13年と平成23年の女性の年齢別の労働力率および、平成23年の男性の労働力率を示したものが以下のグラフです。
(総務省統計局「平成13年・23年労働力調査」より)
グラフを比較すると、平成13年に比べて平成23年は労働力率が全体的に高く、特にM字のボトムにあたる労働力率(平成13年では30~34歳、平成23年では35~39歳)は8%ほど上昇し、10年前に比べてM字のカーブが緩やかになっています。女性のM字型カーブは解消されつつありますが、男性にはM字の落ち込みはみられず、年齢別の労働力率は台形型のカーブを描いています。
なお、出産後、子どもが原則1歳になるまでは育児休業を取得することができます。育児休業を取得する女性の割合は全体で83.7%と8割以上を占めていますが、事業規模が5~29人の小規模な企業では取得割合が79.2%と全体を下回っています(厚生労働省「平成22年度雇用均等基本調査」より)。
さらに、同調査の育児休業制度の有無別に出産後における女性の就業継続の状況をみると、「育児休業制度があり、利用しやすい雰囲気がある」場合、81.8%が出産後も仕事を継続していますが、「育児休業制度があっても利用しにくい雰囲気がある」場合は、出産後も仕事を継続している割合が66.7%に下がります。育児休業制度の有無だけでなく、取得しやすいかどうかでも女性の仕事の継続は影響されているようです。
子育てが一段落した後再就職する女性の多くが、パートやアルバイトなど非正規雇用で働く人が多く、M字カーブが再上昇する40~44歳代以降では非正規雇用で働く女性の割合が半数を超えています。統計をみても、女性の就労は結婚・出産に大きく影響を受けていることが分かります。