日本酒/酒造、酒蔵訪問

京都丹後の地酒ハクレイ(白嶺)、人気の秘密を探る(2ページ目)

日本でも有数の観光地として国内外から注目される京都・丹後。この地域には20社近い酒蔵が点在し、若狭湾の海の幸とともに地元の方々や観光客に喜ばれている。この地を代表するハクレイ酒造をお尋ねした。ハクレイの酒は辛口から甘口までバラエティ豊富なうえに、不思議に悪酔いしないと言われる。さてその理由は? その秘密を探ってきた。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド


波動の高い霊験あらたかな水

由良ガ岳

冬の由良ガ岳。まさに白い嶺が美しい。夏は深い緑をたたえる

この山、社名になっただけの関係ではない。酒を醸す水はこの由良ヶ岳にある不動の滝から「不動山水」を600キロメートルのパイプラインでひいているのだ。この水、ドイツ高度で0.5°dHという驚くべき超軟水。酒の発酵はミネラル分の多い硬水であればより活発に行えるが、ミネラル分の少ない軟水は難しい。名酒を生み出す灘の宮水は8°dH前後、伏見で5~7°dH、超軟水と言われる静岡の水で3°dHだ。ちなみにエヴィアンは17°dH、コントレックスは82°dHである。

みず

蔵の真正面、由良ガ岳を臨む場所には湧水が

驚異の超軟水だが、ハクレイではなんの科学的知識もない江戸時代より立派に酒が造られ続け、そのうえ甘口から辛口まで自在に造りかえている。秘密は「不動山水」にある。実はこの水、波動が非常に高いという。言い換えるならば非常に強い「気」を持つ水らしいのだ。その道の専門家の分析により、免疫力が高く、ストレス緩和、肝臓にも負担が少ない水ということがわかった。言われてみれば、たしかにハクレイの酒は不思議に舌に身体にやさしい感じがし、実際二日酔いになったことがない。この波動の高い水がその訳だったのか。蔵から見える由良ヶ岳に一礼。

霊水仕込み「天橋立・純米酒」(ハクレイ)記事はこちら

香る田圃から生まれる米の酒「香田」

香田

清らかで透明感あふれる水をイメージさせる香田のボトル

丹後はおいしい米の産地としても知られる。なかでもJA京都丹後山田錦生産部会員所有の田んぼの中に、昔から「不思議とよい香りがする穀物の穫れる田」として語られていた場所があったとか。小字名はそのままズバリ「香田」。ハクレイはその田んぼの栽培者と契約をし、さらに低農薬有機栽培を実施。この田んぼから生まれた米を使った酒はすべて「香田」と名付けられている。磨かずにいい酒を造ることを目的にした香田は、超軟水ながら高い波動を持つ水で醸され、人にやさしいパワーを持って酒好きに愛されているのだ。


丹後ならではの酒米「祝」の特徴は?

蔵の中

歴史を感じさせる蔵の中

酒造りを終えて静まりかえる蔵の中を案内してくださるのは入社18年、杜氏歴6年の須川陽司さん。モノ作りに興味がありこの世界に入った50歳。「酒造りは勘が勝負かと思いましたが、米の量、アルコール度数、造りの日数など意外に計算が多い仕事だということに驚きました」と笑う。去年但馬杜氏組合員となったまさに脂が乗った杜氏さんだ。

2000坪の敷地で、酒造りには4名がかかわり700石を造る。特定名称酒が全体の6割。地元で7~8割を消費する。

 

壁

昔のままの姿で残される蔵。良質の微生物が住みついている

丹後発祥の酒米「祝(いわい)」について伺えば、「トゥルンとして、甘味、ふくらみ、旨味が感じられる品種です。心拍が大きく、溶けやすく割れやすい。私としてはあまり磨き過ぎない中吟がいいと感じています」と須川杜氏。

地元ならではの品種で造られた酒は魅力的だ。たとえ全国新酒鑑評会などで賞が取れないとしても、一般の飲み手にとっては、その土地を髣髴とさせイマジネーションをかきたてる酒となる。

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