残酷な運命の子供を中心としたサスペンス映画
■作品名氷点
■監督
山本薩夫
■主演
若尾文子
■DVD発売元
角川書店
■おすすめの理由
複雑な人間模様が描かれており、憎悪と心の闇を見事に女優が演じている氷点です。
子供の出生を知った時、今までの子供への愛情が一瞬にし凍ってしまう心を見事に描いています。
いつもしおらしく美しい女性が、憎悪に包まれると悪魔のような心と顔になります。
その演技を若尾文子が演じ、嫉妬と憎しみを子供にぶつける姿が恐ろしいのです。
無邪気でお人よしの美しい娘を、安田道代が演じています。彼女の持っているオーラのようなものが、彼女をどうしても死から遠ざける要素になっています。憎しみをぶつける娘は、それでも血の繋がらない母を振り向かせようと努力をします。その姿がとても気の毒で、運命はなんと残酷なんだろうと思ってしまうのです。
この映画では、子供を中心としたサスペンス形式になっており、その子供が大人になって結婚をする頃までの人間模様を描き出しています。長い年月が経つにつれて、人々の心境の変化も窺い知れるなんとも辛い映画に完成しています。
若い頃の津川雅彦や森光子も出演しており、その役者のいつもとは違う演技も見ものです。
真っ白な雪が積もる旭川を舞台にしているのも、人の心をあらわしているかのようで、寂しく感じるサスペンス映画です。