文豪シェイクスピアの悲劇の名作
『ロミオとジュリエット』
■監督フランコ・ゼフィレッリ
■主演
オリヴィア・ハッセー レナード・ホワイティング
ロミオとジュリエット。世界でこれほど有名かつ幾度となく劇場や映画館で再演されている物語も、すくないのではないでしょうか。
文豪シェイクスピアの戯曲のなかでも特に、つくられた当時から数え切れないほど演じられたこの作品ですが。作者と同国人ではなく、海をへだてた異国のイタリア人監督、フランコ・ゼフィレッリが脚色・監督をしたこの作品が、わたしはもっとも原作の精神を体現していると思います。
もともとこの作品の舞台はイタリアのヴェローナ想定していますし、13歳で恋に燃えたジュリエットを描くには、恋の国イタリアの男の方が良かったということでしょうか。
ジュリエットとロミオを演じた俳優はどちらもイギリス出身で、ホワイティング君の方は、10代のロミオを演じるにはやや無骨すぎないかと思うのですが、オリヴィア・ハッセーは文句なしに可憐、純真のジュリエットです。
映画の中で彼女がひたむきにロミオを、いとしいの君を見つめる姿を大写しにした場面があるのですが、その瞳で見つめられればどんな男でもめろめろになってしまい、絶望的な恋の炎にみずから飛び込んでゆくだろう説得力があります。
イタリアの栄誉ある監督賞をとったであるとか、ゴールデングローブ賞に輝いたであるとか、なんて話題はどうでも良いのです。ジュリエットのひたむきな目を見る。その瞳に見つめられる。ただそのためだけに、この映画をみてください。きっと、一瞬の恋にもえた彼女の心に、共鳴することができると思います。