ミュージカル映画の巨匠・ロバート・ワイズ監督の作品 『たたり』
■監督ロバート・ワイズ
■主演
リチャード・ジョンソン、、クレア・ブルーム、ジュリー・ハリス
■DVD販売元
ワーナー・ホーム・ビデオ
1963年に公開になったアメリカのホラー映画「たたり」(The Haunting)は、日常の中の人間心理の異常さを描く作風で知られる、作家シャーリイ・ジャクスンの「山荘綺談」(The Haunting of Hill House)が原作。
最初に驚いたのが、ロバート・ワイズ監督だったということ。
アメリカの映画監督、ロバート・ワイズは、「ウエスト・サイド物語」や「サウンド・オブ・ミュージック」でアカデミー賞の監督賞と作品賞を受賞している、ミュージカルの巨匠です。
そんなロバート・ワイズの手により作られたホラー映画「たたり」。
■あらすじ
物語の舞台は、ニューイングランドの田舎にある巨大な館。
「丘の家」と呼ばれ、不吉な雰囲気が漂う。
超異常現象の研究家であるマークウエイ博士(リチャード・ジョンソン)は、霊的な感覚を持っている女性エレノア(ジュリー・ハリス)とセオドーラ(クレア・ブルーム)を連れ、屋敷を訪れる。
そして、不気味な現象が次々と起り……。
■おすすめの理由
ホラー映画なのに、殺人は描かず、恐ろしい化け物や血しぶきもないのですが、重苦しい中で徐々に高まる緊張感と、じわじわと迫ってくる恐怖の演出はさすが巨匠という感じ。
心霊現象の描き方もただ恐怖だけではなく、ヒロインの女性の悲痛な心理描写なども加わり、戦慄だけではなく、格調の高さを感じるほどです。
「ウエスト・サイド物語」や「サウンド・オブ・ミュージック」とは、全くテイストの異なるホラーですが、恐怖を感じさせる演出は、さすがだなあ~と思わせるものがあります。
もしかしたら、本当に恐ろしいのは怪物でも化け物でもなく人間の心理なのかも……。
最近のホラー映画に慣れている人には物足りなく感じるかもしれませんが、派手なCGや演出だけが人間を怖がらせるのではないということを、しみじみと感じる、古典ホラーだと思います。