心に響く、日常に潜む普遍的なものを切り取った詞

■バンド名
「叫ぶ詩人の会(さけぶしじんのかい)」

■おすすめの作品
  • アルバム 『虹喰い』、『LOVE&PEACE』
  • シングル 『はきだめの鶴』
■思い出
叫ぶ詩人の会は90年代、実質的に94年から98年のわずか5年程ですが、パンクロックに現代詩の朗読(ポエトリーリーディング)を融合させるスタイルで異彩を放ったバンドです。

私がこのバンドを知ったのは、ボーカルのドリアン助川(ドリアンすけがわ)さんがパーソナリティを務めた深夜ラジオ番組「ジャンベルジャン」でした。

ジャンベルジャンは覚えておられる方もいらっしゃるかと思いますが、90年代後半を代表するニッポン放送の人気ラジオ番組で、ドリアンさんがリスナーの若者と電話で会話し、彼らの悩み相談に答えるものでした。

ドリアンさんと言えば音楽、ラジオパーソナリティ以外にも、放送作家、詩人、小説家、演劇など多方面に才能をお持ちの方です。

ラジオの悩み相談はありふれたコーナーではありますが、ドリアンさんのこの番組は、彼の悩みを聴く能力の高さ、コミュニケーション力のすばらしさ、相談者との距離感の絶妙さ、声のトーンや語り口の巧さで若年層に圧倒的な支持があり、私もこの番組を楽しみにしていたリスナーの一人でした。

そんなドリアンさん率いるバンドということで、叫ぶ詩人の会は、その詞(詩)に大きな魅力がありました。私が好きなのは主に初期作品ですが、詩人の感性で日常的な情景の中に潜む普遍的なものを、独特の優しい視点で見つめ切り取った詞は心に響く力がありました。

これが単なる朗読だったら表現としてかなり違ったものになっていたはずで、今回久しぶりにきちんと聴き直してみて、パンクロックの激しいビートに乗って感情を吐き出す様にシャウトすることで成立するように書かれた歌だと改めて感じました。

また彼は寺山修司や宮沢賢治の影響を強く受けていますが、私も彼らが好きで通じ合う点もあったと思います。

最後はメンバーの一人が薬物所持で逮捕され、所属レーベルから契約打切で活動休止、事実上の解散と残念な形で終了してしまいました。

ドリアンさんの稀有の才能ありきで成立していたバンドではありますが、彼の衰えぬ才能・研ぎ澄まされた感性がいまだ健在なのを見るにつけ、今復活するならまた新たな魅力をきっとみせてくれるのではないかと思いお勧めしてみました。