まちがったほめ方をするとカンニングする子になってしまいます。
カンニングする子供になる危険1.テストの結果をほめる
テストの結果がよかったときに、「90点も取れたなんてすごいじゃない!」というようにほめていませんか? ほめられた子どもはうれしくなって、次のテストもいい点数が取れるようにがんばります。無事、次回のテストもいい点数が取れて、ほめられていい気分になります。でも、テストは回を重ねるごとに難しくなってくるものです。だんだん点数が取れなくなってきます。今までのようにがんばって勉強しても、思うように点数が取れない、そういう時期が必ず来ます。努力しても結果につながらないとき、ひたむきな子どもは、努力を続けます。それでも、点数が伸びないとどうするか。テスト中、左右の生徒が解いているテストの答えを、見ようと思えば見えてしまうとき、どうするか。すぐに点数が取れるという誘惑に打ち勝つほど、子どもの精神は鍛えられていません。ほめるのなら、がんばって目標に向かうその姿勢、努力をほめるといいです。でも、子どもの精神年齢が成長してくると、ほめる効果も薄れてきます。なんだかご機嫌を取ってもらっている気になってくるのですね。ですから、ほめるよりも、「認める」、「感心する」ことをお勧めします。ほめるという行為は、相手の反応を期待しています。子どもは成長すると、「すごいね~」とほめられると、(だから次もがんばるのよ)という心の声を感じ取ります。子どもの反発の芽となりかねます。「あなたががんばっているから、お母さんもがんばって料理しよう」というように努力を認めたり、「最近集中して勉強しているね、私でもなかなかそこまで集中するのは難しいのに」というように、感心していることを示したりするぶんには、反応を期待しているわけではないので副作用なく、子どもにプラスの働きかけができますよ。
カンニングする子供になる危険2.成績へのプレッシャーを与える
「今度のテストでこれより下がったら、もう受験なんてあきらめた方がいいかもね」と、そんなプレッシャーを与えていませんか。テスト中にカンニングをする子どもはたいてい親からプレッシャーを与えられています。本当に点数を取らなければならないテストは入試だけです。それ以外のテストは、できないところを発見するためにあります。入試に受かるために必要なことは、確認テストや月例テスト、実力テストで高得点をとることではありません。できなかったところを受け止め、理解することです。理解できないようであれば塾の講師に質問することです。それが入試本番の得点力になります。テストの点数について、プレッシャーを与えるほど、子どもは返却されたテストのできなかったところから目をそむけるようになります。これでは本末転倒ですよね。むしろ100点取れるようなテストであれば、その子には無意味なテストだったといえます。できないところが多かったテストほど、価値があるのです。テストの点数に対してプレッシャーを与えると、子どものカンニングを助長する危険性があります。いちどカンニングをしていい点を取り、親からの叱責を無事免れた子どもは、次のテストでもカンニングをするようになってしまいます。では、どうすればいいのか。塾の講師に「次のテストであと10点アップするにはどうすればいいのでしょう」と聞くのです。プレッシャーは子どもではなく、プロの講師にかけるぶんにはプラスに働きます。
カンニングする子供になる危険3.今苦労すれば将来が安心だという
確かに勉強は楽しいだけではありません。でも、苦しさだけでもないはずです。知らなかったことを知る、これはもともと人間に備わっている好奇心です。だから昔から今に至るまで、テレビのクイズ番組は老若男女に親しまれているのですね。それを「苦しい」と決めつけるように言ってしまうと、子どもの勉強嫌いを後押ししてしまいます。勉強の楽しさを見出せず、でもテストの点数は取らないといけない。そんな思考になった子どもはカンニングの誘惑に負けやすくなってしまいます。また、「将来、楽になれる」、この言葉も要注意。「楽になる」、これは幸せなことでしょうか。子どもの幸せを願うなら、大変でも充実した仕事に就いて、力を発揮してもらいたいですよね。「楽」できることがいいことだ、と思ってしまった子どもはやはり、楽にテストの点数を上げる安易な手段に出やすくなります。あと少し理解が進めば、勉強することがどんどん楽しくなるよ、と楽(ラク)さではなく、楽(タノ)しさを伝えてあげてくださいね。
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