獺祭のその先とは……
山口市内で獺祭と白身魚のお造り。フグもいい。
先日発表された売上推移は、平成19年度で7億4000万円、純利益6000万円。平成23年度で25億1000万円、純利益3億2000万円。純利益は5年で5倍強の成長である。こう書いては申し訳ないがジリ貧の日本酒業界においてこの数字である。酒類業界関係者は「2割3分とは本来米のまわり23%を削るという意味。まったく反対のことをしている」とか「あそこまで削れば麹が繁殖しないので味がしない」とか「製法を聞きに来ないから教えない」などとおっしゃる人もいる。それは正しいのだろう。しかし、消費者はそんな切り口どうでもいい。時代に合った味わいとスタイリングでおしゃれに楽しめればいいのだ。だからこそ売れている。「その先へ」もスペック未公表。これは企業秘密ということもあるだあろうがお客様にとってスペックは大して重要ではないからでもあるという。
東京獺祭の会にてご挨拶される桜井社長
ただ、高品質の山田錦は不足気味だ。獺祭が四季醸造(年に4回酒を造ること、通常は年に1回)に拍車をかけ製造量をあげていけば、この先さらに山田の不足と価格高騰となる。これで他の蔵が困るということはあり得るだろう。
現社長が蔵に戻り3代目社長に就任した昭和59年、蔵は廃業寸前だった話は知られたところ。山の中の小さな蔵が目指す「その先」は、さてどこなのだろうか。