1日100通メールによる一点突破
まず、「行政書士事務所」とグーグルやヤフーで検索を入れて、出てくるホームページを「全て」チェックしました。そのホームページの内容を見て、相互リンクを張ってくれそうかどうか判断し、メールで相互リンクをお願いしました。今よりも事務所のホームページの数は少なかったとはいえ、途方もない作業でした。この作業を含めて、相互リンク依頼メールを「1日100通」出すことを自分に課すことにしました。2003年11月16日のことです。人員は1人。時間は限られ、資力はありません。だから、相互リンクによる一点突破をはかったのです。
毎日、メールを送付して、お返事に対応しつつ、ホームページの相互リンク欄を作成し、お礼のメールを差し上げていました。流れ作業だったため、ミスも多く発生しました。それでも、行政書士の先生方は、新米行政書士の私にとても丁寧に対応してくださいました。諸先輩方とのメールのやりとりを通じて、行政書士になって良かったのかも知れないと感じることもありました。
一方で、弁護士からは全く相手にされませんでした。大学時代の先輩の弁護士からも断られる始末でした。行政書士の位置付けという問題に初めて直面した瞬間です。
訪れた栄光の瞬間、しかし……。
膨大な事務作業が延々と続きます。途中、看護の疲れも重なり倒れもしました。しかし、苦労を重ねた末、ついに、その瞬間が訪れます。メール送付を開始してから約2か月後の2004年1月8日、グーグル「行政書士」検索の結果、個人事務所として1位を獲得したのです。さらに、2004年1月15日、グーグル「行政書士」検索の結果、個人事務所として1位を継続し、全体4位という地位も獲得できました。まさに、歓喜の瞬間です。SEOに成功しホームページによる開業も大成功を収め現在に至る……。
そうはいきません。それほど独立開業は甘くありません。何より、私の開業には致命的な欠陥がありました。
例えるならば、都心の一等地に出店は出来ました。でも、商品がないのです。ホームページに掲載した仕事は、ただ行政書士が一般的にできるものを羅列したにすぎません。一等地に出店することだけを考えて、何を売るか決めていなかったのです。
本当に、なんて愚かなのでしょう。ここに至って、ようやく真剣に、行政書士としてどんな仕事をするかを考えることになるのです。