ベルギー/ベルギーの観光

中世を再現するベルギーの時代祭り、オメガング

世界遺産のブリュッセル「グランプラス」は、いつ訪れても感動的ですが、初夏の黄昏時がベスト。不思議な感覚で、中世へタイムスリップしてみませんか。ここは、ハプスブルグ家の血を引く、神聖ローマ帝国皇帝カール五世の本拠地。グランプラス周辺にはその足跡が今も残ります。国宝級の時代祭り「オメガング」、カール五世が居城としてコーデンベルグ宮殿遺跡めぐりなど、グランプラス周りで中世体験を。

栗田 路子

執筆者:栗田 路子

ベルギーガイド

晴れた初夏の黄昏時、グランプラスで中世にタイムスリップ!?

黄昏時のグランプラス、我を忘れる

黄昏時のグランプラス、我を忘れる

ベルギー観光の拠点は、なんと言っても、首都ブリュッセルの中心広場「グランプラス」。グランプラスとは「大きな広場」。つまり、中世以来、人々が集い、様々な行事の行われた市の中心広場のことです。ブリュッセルのそれが特に有名なのは、時空を越えた歴史と現代の営みが神秘的なまでに調和して、あまりに美しいから。いつ訪れても必ず感動を与えてくれるこの広場。特に最高なのは初夏の黄昏時。数百年の歴史を刻む広場と、まだ暮れ切れない藍色の夕空がかもし出す、光のコントラストに、息を呑み、しばし我を忘れる……。

グランプラスでもっとも目を引くのは、15世紀建造の市庁舎。96メートルもある高い塔や壁面全体に施されたゴシック様式の装飾が、ライトアップで見事に浮かび上がります。一方、これに向き合って、少し控えめに輝くのは「王の家」(現ブリュッセル市博物館)。「王」とは、ハプスブルグ家の血を引く神聖ローマ帝国皇帝カール五世のこと。16世紀、彼は、ここブリュッセルに君臨し、スペインからハンガリーオーストリア、イタリーや北アフリカの一部までに至る大帝国を統治したのです。ブリュッセルで、カール五世の足跡を訪ねながら、中世へタイムスリップしてみませんか?

時代スペクタクル『オメガング』とカール五世フェスティバル

カール五世フェスティバル (c)VisitBrussels

カール五世フェスティバル (c)VisitBrussels

そもそもオメガングとは、キリスト教にまつわる行列で、ベルギーや欧州のあちこちで古くから行われてきたもの。しかし、今日「オメガング」と言えば、ブリュッセルのグランプラスで、毎年7月初めに開催される「荘厳な歴史スペクタクル」を指すようになりました。その主人公は、もちろんカール五世。その行列が、かつての居城コーデンべルグ宮殿跡(現ロイヤル広場地下)から、「王の丘」を通って、グランプラスまでを行進し、そこで、後継者フィリペ二世をお披露目するという時代絵巻を、今日的な演出手法で展開する必見のスペクタクルです。

 

オメガングの舞台グランプラス

グランプラスは時代絵巻の舞台 (c)VisitBrussels - F. Andrieu

スペクタクルは夜21時頃から深夜まで。石畳の舞台「グランプラス」で、時代装束 に身を包んだ何百人もの、騎士や兵士、音楽家や大道芸人、商人などが、皇帝一族を取り囲んで歌い踊る光景を前に、見ている観客も思わず引きずり込まれて行きます!

 

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■OMMEGANG
オメガングの時代絵巻

中世の世界に引きずり込まれる (c)VisitBrussels-F.Andrieu


日時:毎年、第一火曜日と木曜日の二晩(2013年は、7月2日(火)と4日(木)
開催場所:グランプラス
グランプラスに建てられる観客席は完全予約制で有料。ロイヤル広場からグランプラスまでの行列は無料で見学可。また、オメガング開催前の6時~8時には、コーデンベルグ宮殿跡での「中世ビュッフェディナー」も。事前予約要。
公式URL: www.ommegang.be

 

コーデンベルグ宮殿遺跡

コーデンベルグ宮殿遺跡

謁見の間から大聖堂へ抜ける(c)VisitBrussels-M.Vanhulst

年に2回のオメガングとタイミングが合わなくても、中世体験は可能です! 広大 な帝国を統治したオメガングの主役カール五世が居城としたコーデンベルグ宮殿遺跡探訪はいかがでしょう。その城は、壮大で豪華絢爛を極めたといいますが、18世紀の火災で大半を焼失、19世紀の都市開発で完全にその姿を消していました。しかし、2000年以降発掘が進んだので、創造力を豊かにすれば、中世の栄華をイメージし、皇族の日常に思いを馳せることが……。

春から夏にかけては、このカール五世の居城遺跡で、特別展「オメガング」開催。 16世紀から18世紀にかけて続いたブリュッセル市民総出のスペクタクルは、その後、1930年に復活。各時代の政治、文化、宗教などを反映しながら続くオメガングの変遷が見られます。

 

コーデンベルグ宮殿

コーデンベルグ宮殿へようこそ (c)VisitBrussels-E.Danhier

期間中一日は、ファミリーデーとして、小さな子どもも楽しめる参加型のワーク ショップも。16世紀のスイーツに挑むお料理教室、中世装束に身を包んだオメガング登場人物との写真撮影、プリンセスやナイトにコスプレできるコーナーなど子どもも大人も楽しめるメニューがぎっしり。

その他、テーマディナーやコンサート、宝探しなどが秋口まで随時開催されるので、こまめにチェックをお忘れなく。

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■COUDENBERG宮殿遺跡
住所:Place des Palais 7,1000 Brussels
開館時間:火~金曜 10:00~17:00、週末 10:00~18:00
休館日:月曜
料金:5ユーロ(18歳未満無料)
公式URLwww.coudenberg.com

オメガング特別展:2013年は5月23日~9月1日
ファミリーデー:2013年は6月9日、10:00~18:00

サブロン広場で、中世のブリュッセル市民体験

週末の骨董市やおしゃれなレストラン、ピエールマルコリーニ他、ベルギーを代表するチョコレートブランドのメッカとして、ブリュッセル市民や観光客に人気のサブロン広場。ここでも、オメガングに連動した中世体験が。中世風市場で、当時を思わせる食べ物や工芸品が売られる他、タカ使い、音楽家などが街角で様々なパフォーマンスを見せてくれます。


グランプラスに面した市庁舎やブリュッセル市博物館(通称「王の家」)、中世の城壁門博物館HALなどでも、カール五世をテーマとして、さまざまなガイドツアー、講演会、特別展示が開催されています。また、グランプラスに面したインフォメーションなどでは、「カール五世ミニマップ」が販売されているので、これを見ながらタイムスリップ! ブリュッセルは、カール五世にちなんだ隠れ名所の宝庫! 知る人ぞ知る穴場を探検しませんか?

オメガングおよびカール五世フェスティバルについての総合案内は、
www.carolusfestival.be
www.ommegang.be
にて。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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