よくできたクルマ、“通好み”で盛り上がる
なるほど、その乗り味は、現時点(2013年5月、つまりはVWゴルフ7の正規導入前)で日本における内外Cセグメント車のなかでもナンバー1だと思う仕上がりだった。ひとことでいえば、パワートレインとシャシー、そしてボディのバランスが三位一体、すべて高いレベルできっちりタッグを組んでいるのが、操っていてドライバーによく伝わってくる。とても、路面と仲のいいクルマであった。
乗り心地は、適切に硬く、それでいていなしもほぼカンペキで、嫌味がない。ボディが強く、いいアシがよく動くからだ。ワインディングを攻めこめば、2リッターの力とトルクベクタリングなど制御を生かして、面白いような速さとシャープさで、いろんなベントをクリアする。高速域での安定感は、言うまでもなく……。
こんなによくできているのだから、ボルボやベンツを褒めてばかりいないで、もっとオススメすればいい、と自分でも思ったりするが、そこがこのクルマのもったいないところで、小さなクルマに今や常識的に必要なエコ対策(たとえばパワートレイン)が不十分なこと、デザインのセンスがいかにもグローバルマーケット志向で“オシャレ”じゃないこと、そして、にも関わらずちょっとお値段が高いこと、が、躊躇う理由である。
もっとも、そんなこんなも知ったうえで乗ってしまえば、よりいっそう、“通好み”で盛り上がる、というのがまたマニアの心理。
できれば、もうちょいとダウンサイジングパワートレインなモデルと、ハイパフォーマンスなSTを日本市場でも追加してくれないかなあ~、というのが、目下の願望だったり……。