自分の意思と逆行しなくてはならないのが「お片づけ」
いつまでも遊んでいたいけれど……
ママにとって、お片づけを子どもにどう促すかは共通の悩み。どうしてお片づけというのは、なかなかひと筋縄にはいかないのでしょうか?
小さなお子さんが「片づけるモノ」、それは、ママの洗濯物でもないですし、パパのスーツでもありません。100%自分の物のはずです。それも、ついさっきまで夢中になって遊んでいたおもちゃがほとんど。そのおもちゃを片づけるということは、自分の意思(おもちゃでずっと遊びたい)に逆行することになるのです。
4歳児は片付けできない? 楽しみを先延ばしできるのは5歳から
楽しいこと、嬉しいこと、美味しいものにはすぐに飛びつくけれど、つまらないもの、イヤなもの、美味しくないものは敬遠したいというのは、子どもの本能。 大人は先々の達成、成功のために、今をガマンすることができますが、それは私達が成長とともに習得してきた自己コントロール力であり、生まれつきの習性ではありません。この力が育ってくるのは、一般的に、5歳くらいになってからということが心理学の研究で分かっています。よって、4歳くらいまでは、やりたいことを先延ばしにするのは、心理発達上、とても難しいことなのです。それにもかかわらず、お片づけは、好きなものを先延ばしするどころか、見えない部分に収めなくてはならないのですから、てこずって当然なのですね。
3~4歳の子のお片づけがスムーズに行かないのはこういう理由があるからです。
子どもの心の葛藤を受け止めてあげるとママもイライラしにくくなる
見方を変える、視線をずらすのがコツ
遊びたくてたまらないおもちゃを片づける、この動作は、3~4歳の子にとって、ものすごい頑張りを必要とする行動です。つい親は、まだ片づけていないものに目が行きがちになりますが、何とか片づけられたものにも、ぜひ目を向けてあげてください。収納されたおもちゃの数だけ、誘惑と葛藤に打ち勝っているのです。
このように「片づけて当たり前」という見方を脱せると、ママ自身もイライラしにくくなります。片づけのみならず、子育て全般に言えることですが、できなかったことを叱るよりも、できたことをほめることで、負のスパイラル突入を回避できるようになります。目線をずらすことがポイントです。
ふだん、子どもには「片づけ、片づけ」と言っている私達大人も、昔の日記や古いアルバムを整理していたら、ついつい片づけそっちのけで見入ってしまったという 経験はありますよね。片づけのプロセスには、大人でさえも誘惑する要素があるのですから、子どもなら簡単にその誘惑に乗ってしまいます。
たかが片づけ、されど片づけ。意外と奥が深い「お片づけ」は、子どものココロに寄り添うことで、スムーズに進みやすくなります。
親は子どものやる気スイッチを入れる工夫を
4歳くらいまでは、子どもから「そろそろお片づけしようかな」ということはないので、親がうまく誘ってあげる必要があります。それでは、親としてそれをどうやって促していけばいいでしょうか……?いずれ子ども1人でお片づけできるようになることを目標に、その時のお子さんに合った作戦でお子さんのやる気を起こさせ、それを持続させる工夫がおすすめです。
■子どもの競争心を活用する
子どもはお片づけ、ママは同じ部屋で出来る家事(例えば洗濯物をたたむなど)でヨーイ・ドン! と競争する。(子どもは元来競争好きです)
■ビフォー写真VSアフター写真
- デジカメや携帯でお片づけ前の部屋の写真を撮る(お子さんに撮らせてもOK)。
- 「この積み木とこのパズルを消しちゃおう!」と写真上で散らかっているものを目視チェックし、片づけ作業へ。
- 終了後、同じ場所からまた写真を撮り、「積み木とパズルが消えちゃった!お部屋がきれいになったね」と視覚で喜びを感じてもらう。
「ボクは線路を片づけるよ」「私はおままごとを片づけるわ」と使っていたおもちゃ(お人形、電車など)の手や声を使ったり、「○○ちゃん、そろそろボク達、おうちに帰る時間だよ」と誘い、遊びの導線でおもちゃを帰宅させる。
なお、片づけをしはじめたら、また遊び始めてしまうという場合には、同じ部屋でその進行状況を見ていることをおすすめします。その際、ママは監視役のような存在にならないよう気をつけてください。見張られていると思うと、子どもは自分を信じてもらっていないと感じ、やる気をなくしてしまいます。「あなたなら大丈夫」という見守りの気持ちでいることが大切です。
「ママもおしごと、あなたもおしごと、ふたりともおしごと忙しいね」
そんなニュアンスを伝えられるといいですね。
■参考図書:「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」
【関連記事】