年金/遺族年金の仕組み

社長夫人は、社長が亡くなった後の遺族年金に注意!

先日、60代半ばとみられる女性が窓口へ相談にいらっしゃいました。突然年金の額が減ってしまって納得がいかないと少しお怒りの様子。この女性はなぜ年金が突然減らされてしまったのでしょうか? そのからくりを探ってみたいと思います。

綱川 揚佐

執筆者:綱川 揚佐

年金ガイド

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年金が突然減ってしまった!その理由は?

年金が減ってしまったからくりとは?

年金が減ってしまったからくりとは?

相談者である奥様は、先日65歳の誕生日を迎えたとのこと。数年前にご主人を亡くし、遺族年金を受け取っていること、ご主人は元々会社社長で、相談者が役員だったことを話していただきました。夫婦二人三脚で頑張ってきて、保険料もたくさん払ってきたのに、年金が減らされるのは納得がいかないと、しきりにおっしゃっていました。

現在は相談者である奥様が社長になっているとのこと。相当高額な給与をもらっている様子でした。そこまで聞いて、やっと年金が減った理由がわかりました。

遺族年金のもらい方、それにはこんな仕掛けが!

ここで、遺族年金のもらい方について整理してみましょう。

60歳までの遺族年金は、自分が他の年金をもらっていた場合、どれか一つを選択することになります。女性の場合、一般的に自分の老齢年金より遺族年金のほうが高額ですから、遺族年金を選択する方が多いようです。

65歳以降については、そのもらい方が少し変わります。まず、自分の老齢基礎年金を受け取り、今まで選択していなかった自分の老齢厚生年金も優先的に受け取るようになります。そして、自分の老齢厚生年金を遺族厚生年金が上回った差額が遺族年金として支給されるのです。つまり、年金としては三層構造になるということですね。これは選択制ではなく、当然にそういう形になります。

また、60歳までの遺族年金には、中高齢寡婦加算(58万3900円)がついていますが、65歳からはこれがなくなり、代わりに生年月日に応じた経過的寡婦加算が支給されます。

ちょっと遺族年金の話から外れます。老齢厚生年金には、在職中で厚生年金に加入している方について、給与の額と年金の額によって年金が支給停止になるという在職老齢年金という制度があります。遺族年金にはこうした制度はなく、給与も年金も両方全額受け取れます。

今回の相談者の年金が減ってしまったのは、この二つの制度が関連しています。

今回のケースの詳細は、以下の通りとしましょう。
  • 平成25年2月で65歳(昭和23年2月生まれ、経過的寡婦加算17万5200円)
  • 遺族年金は約150万円(うち中高齢寡婦加算約60万円)
  • 老齢厚生年金は約90万円(うち定額部分約40万円)
  • 65歳からの老齢基礎年金は約70万円
  • 現在の給与は月額62万円、ボーナスなし
次のページでは、年金額が減ったからくりを実例で紹介!
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