全てを消し去るアクシデント
しかし、その日がやってきます。10月8日、何の前触れもなくパソコンが壊れ、入っていた情報がすべて失われたのです。もちろん、作成したホームページもです。数か月の努力がすべて水泡に帰した瞬間でした。最初は何が起きたかわかりませんでした。時間が経ってその意味がわかった私は、ただ呆然と壊れたパソコンの前でしばらくうな垂れていました。当時、ノート型パソコンはまだまだ高価で新製品は30万円近くしました。業務をする上でパソコンは必需品です。ですが、資金に余裕はありません。もちろん、分割ならば購入できるのですが、その気持ちが全く起きないのです。「開業しなくても登録だけしていればいいや」と考えるようになったりもしました。このアクシデントは、情報だけでなく私のやる気をも完全に消去させたのでした。
病床からの叱咤激励
この危機的状況を救ってくれたのは、大病を患い闘病生活を続けていた身内でした。もぬけの殻となり看護を続ける私を逆に励まし、パソコン購入資金の出資を申し出てくれました。同じ病棟で闘病生活を続ける方がお亡くなりになる中、私の身内は、仕事に復帰することを願って、苦しい闘病生活を送っていました。命を削りながら闘病する身内からの叱咤激励です。闘病する身内が働くことを望み、元気な私が開業を断念するなどもってのほかです。私は不退転の決意を表すためにも、出資をお願いすることにしました。そして、ホームページの公開日を約束しました。早速、融資を受けたお金で新しいパソコンを購入し、再びホームページ作成作業に取り掛かりました。
ついに公開、しかし…
それから1ヵ月。今まで以上にホームページ作成に没頭しました。そして、2003年11月13日、ホームページを完成させてアップロードを終えました。地味で見栄えの悪いホームページでしたがこの数か月の努力の結晶です。インターネットに接続して、モニターに映るホームページをみて、しばし感慨にふけってしまいました。しかし、数日後、これほど苦労して作成したホームページが「行政書士」と検索をしても出てこないのです。私のホームページは検索しても検索しても出てきませんでした。100番、300番を越えて、次のページ、また次のページと検索結果をクリックしていくうちに、何かとても切なくなり、胸が締め付けられるような感覚に襲われました。何とかしたい……。
今度は、ホームページを検索上位にするというSEO(検索エンジン最適化)という大きな壁が立ちふさがったのです。