ゴーカートフィール滲み出る4WD、ふだん乗りにピッタリFF
1.6リッターエンジンは最高出力122ps/最大トルク160Nmを発生。1.6リッターツインスクロールターボは184ps/240Nmとなり、トルクを260Nmまでアップさせるオーバーブースト機能も付く
格好で乗るのにパワーは要らない。オシャレなパーソナルカーなのだから、気軽に乗れるONEが欲しい、と思うのはボクだけじゃないはず。クーパーからだなんて、ちょっとなあと思いつつ、いきなりクーパーSオール4に試乗した。
乗り味は、まったくもって、クロスオーバーと同じ風味だ。わずかに、こちらの方が、アシがしなやかに動いているだろうか。ひょっとして、気のせいかと思ったら、やはり少し変えてあるのだという。それもわずかにアタリを優しくする方向性だったらしい。クルマ全体の重心がほんの少し下がったことに対する対応だろう。ただし、走りのキャラクターが完全に違う、というほどの差ではなかった。
それでも、クーパーSの4WDともなれば、いわゆるミニらしいゴーカートライド色が滲み出る。上も下もがっちりと動く印象で、操作に対する反応が、けっこうダイレクトだ。嫌味な硬さでは決してない。“お、ハードな趣向だね”、と気分よく思える程度に硬い。昔ながらの欧州車乗りならば、別にどうってことのない硬さで、むしろコシのある乗り味だというだろう。
FFのクーパーにも乗ってみたが、全体の印象としてはこちらの方がしっくりときた。スポーティさを失わず、けれども乗り心地も上質。ふだん乗りにはピッタリだと思う。
クロスオーバーの登場以来、ニッチをニッチで埋める“ミニ商法”に、正直、ちょっと食傷気味だった。こんなのミニじゃないや! と思っていた。けれども、乗ってみれば“いいクルマ”ばかり。さしずめ、このペースマンなどは、アメリカ人のための“でっかいミニ”だったんじゃないか、と想像していたわけだけれども、そんなひねくれた考えなどあざ笑うかのように、クルマの方がよくできている。
そろそろボクも白旗を挙げた方がいいのかもしれない。“ミニ”は昔ながらに“小さい”という意味ではもはやなく、ミニという立派なブランドネームなのだった。