老後にかかる医療費はどれくらい? その費用にどう備える?
一般的に、老後には医療費がかさみます。どのように備えておけばよいでしょうか? 今まで蓄えてきた貯金や退職金の一部を、病気やケガで治療費等が必要になった時のために確保しておく方法もありますが、ここでは医療保険に加入して経済的備えをしておく方法について考えてみます。支出に占める医療費の割合は85歳超で急にアップ
老後にどれくらいの医療費がかかるか、厚生労働省『年金制度基礎調査』から探ってみましょう。この調査は年金受給者の生活状況をまとめたものです。調査対象は全国の国民年金および厚生年金保険の老齢年金の受給者です。
この中に、年金受給者の支出額に関する調査もあります。月々の平均支出額やおもな費目の支出額を次の表にまとめてみました(乗用車や住宅の購入等、臨時的な高額支出ついては支出額に含まれていません)。
表をみると、医療・介護の自己負担は、84歳までは月々2万円程度、生活費(平均支出額)に占める割合は10%未満です。しかし、85歳を超えたあたりから負担割合が急に増え、90歳以上では生活費の2割超(3.3万円)を占めています。
将来、健康保険等の社会保障制度が負担増の方向へ改定された場合は、老後の生活にも大きな影響がありそうです。
治療した時の経済的負担
入院や通院をする回数が増えれば、治療費等の負担額も増えていきます。しかし、健康保険の高額療養費制度により、どんなに高額な治療費がかかったとしても、健康保険が適用される範囲の治療であれば月々の負担は10万円程度に抑えられるはずです。ただ、病気やケガにより治療をすると、治療費以外でも何かと出費を伴うのも事実です。例えば、入院する時に個室を希望して差額ベッド代がかかったり、入院生活をするにあたって身の回り品を用意する費用がかかったりします。
差額ベッド代は希望しなければ負担することはないですが、赤の他人と共同生活をするのは何かとストレスの溜まるものです。隣のベッドで寝ている人のイビキや見舞いに来た人との話し声が聞こえてくると、普段の生活では気にならない程度の音であっても、具合が悪くて辛い時は耐えられないかもしれません。
また、健康保険が適用されない治療を受ける場合は、治療費等で100万円単位でかかってくる場合もあります。
>>次のページでは、老後の医療保険を選ぶポイントを確認してみましょう。