将棋/将棋上達のコツ

将棋のポジショニングをサッカーに例えると?(2ページ目)

将棋はマネージメントゲームです。個性豊かな8種類の駒たちをいかに使いこなしていくか。これこそがテーマなのです。使いこなすとは、すなわち、役割を与えること。では、どんな役割を与えたらいいのか。今回は、その方法、将棋におけるポジショニングについてガイドします。

有田 英樹

執筆者:有田 英樹

将棋ガイド


ミッドフィルダーは誰?

さて、司令塔のミッドフィルダーである。このポジションをまかせるには、盤面全体を縦横無尽(じゅうおうむじん)に走り回れる能力が必要だ。この条件にかなうのは、たった2種類の駒しかいない。そう「飛」と「角」だ。この2枚に伸び伸びと働いてもらうことこそ、肝心なのだ。

フォワードは誰?

前に述べたように、どの駒も攻撃が得意だ。だから、このポジションは人材にことかかない。

中でも、頼りになるのが、ジグザグドリブルのお得意な「銀」だ。「銀」はメインフォワードにふさわしい。そして、もう一つ。隠れたところから、あらゆる駒を飛び越えて襲いかかる「桂」だ。この2枚が連携すれば、優秀な攻撃陣となってくれるだろう。

「香」はあいさつの場所から動かずとも、ある時は攻撃陣、ある時は守備陣として、存在感を発揮してくれる駒だ。その時の情勢次第ではフォワードとして活躍してくれるだろう。それから「歩」。これは一番数の多い駒であり、「と金」に成れば、素晴らしいフォワードに変身してくれる。その上、捕獲された場合でも、相手にとっては「歩」なのだ。「と金」として、暴れ回って、取られたら「歩」。ローリスク、ハイリターンのお手本のような、使える人材だ。

ガイドおすすめのオーダー

では、ガイドおすすめのオーダーを一覧にまとめておこう。
  • ゴールキーパーは「王」
  • ディフェンダーは「金」2枚と「銀」1枚
  • ミッドフィルダーは「飛」と「角」
  • フォワードは「銀」1枚と「桂」
  • 守備にも攻撃にも、「歩」と「香」
ガイドなりに適材適所の配置をしたつもりだが、ぜひ、あなた独特の人材登用案を作ってもらいたい。そんなこんなを考えるのが、楽しい将棋の入り口でもある。ただし、知っていてほしいことがある。

守備は意識しなければできない

何度も述べてきたように、将棋の駒は攻めるようにできている。ということは、あまり考えずに動かしていると、自然と「攻め一辺倒の将棋」になってしまうのだ。逆に言えば、守りは意識しなければできないと言うこと。 意識すれば、グンと棋力が上がり、5級が見えてくるのだ。

将棋では守備の陣形を「囲い(かこい)」と呼ぶ。その形によって「矢倉(やぐら)囲い」「美濃(みの)囲い」「船囲い」「穴熊囲い」などたくさんの種類がある。今回は、数多い囲いの中から、簡単で覚えやすい「カニ囲い」をご紹介しよう。これを覚え、意識するだけで、あなたの将棋が、がらりと変わること間違いなしだ。

カニ囲いとは

カニ囲い

カニ囲い

図を見ていただこう。わかりやすいように他の駒を省略した部分図だ。この守備陣形を「カニ囲い」と言う。ガイドしてきたように、ゴール兼ゴールキーパーの「王」を、ディフェンダーの「金」2枚と「銀」1枚が守っている。あいさつの整列から、わずか4回動かしただけで組み上がるスピード感のある囲いだ。

 

それにしても「カニ囲い」とはユニークな名前である。その名の由来は2説ある。将棋豆知識として、紹介しよう。

横に動く王、だから「カニ囲い」


カニ囲いでの王の動き

カニ囲いでの王の動き

図をご覧頂きたい。ゴールキーパーの「王」が横に自由自在に動ける。相手が右から攻めてくれば左にゴールを移動する、という具合だ。この横の動きがカニを思わせる。だから「カニ囲い」。これが、一つの説だ。

 


カニの姿が連想される、だから「カニ囲い」


カニの姿とカニ囲い

カニの姿とカニ囲い

こちらの図は、盤面にカニの姿をオーバーラップしたものだ。

2枚の「金」がはさみ。「銀」が目玉。「王」が体。どうだろう、星座図のように、その姿が浮かんでこないだろうか?

 

まとめに

今回は、将棋におけるポジショニングについてガイドした。攻撃、守備と役割を分担すること、適材適所の人(駒)材登用をすること、これらの大切さがおわかりいただけただろうか。

また、意識しなければできない守備については、具体例として「カニ囲い」を紹介した。簡単な駒組みであるので、ぜひ、実践で試していただきたい。まったく、囲いを意識していなかった頃の将棋とは、がらりと変わるはずだ。さあ、5級への道が見えてきた。今回の合い言葉は「ポジションにつけ」だ。


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