自分らしく話せる「雑談ネタ」を持つこと
私が支援していた学生の1人だったAくんは、普段学生同士の自己紹介ではよく「“劇団ひとり”に似てるってよく言われるんです」と言いながら必ず笑いをとるほど、明るく陽気な性格の学生だった。
芸人のそっくりさんを雑談ネタにした使ったAくん
しかし就活の面接では緊張して硬くなってしまい、面接官からも「もっと普段のAくんらしくやってほしい」という不合格理由をフィードバックされるほどだった。
なかなか面接で結果が出ずに悩んでいた頃に相談を受けた私は、いつもの質問をしてみた。
私 「ちなみに面接で面接官と雑談できてる?」
Aくん 「え? 雑談ですか? いえ、まったくしてません。出来るような雰囲気じゃないです」
私 「じゃあ今の面接の自分は自分らしい状態と言える?」
Aくん 「いえ、まったくです。むしろ緊張してガチガチで別人の自分です」
私 「ちなみに普段の“あれ”は言ってるの?」
Aくん 「“劇団ひとり”ですか? 言ってないですよ! だって面接ですよ」
私 「それ、面接で言ってみたら? たぶん面接官といい感じの雰囲気になれると思うよ」
Aくん 「……。大丈夫ですかね、第一志望、鉄道業界なんですけど」
私 「面接だからってモードを変えなくていい。普段通りの自分をぶつけてごらん」
Aくん 「わかりました、やってみます」
結局Aくんは自分の「雑談ネタ」を持ち、それを使って面接官と面接の中で笑いながらざっくばらんに話をする「雑談」をするように意識した。
結局「劇団ひとりネタ」は多くの面接官にヒットし、その話だけで盛り上がった回もあったそうだ。そしてみごと大手鉄道会社J社に内定を獲得する。
大切なのは「芸人に似ています!」と面接で言うことではない。
もし緊張して自分らしさを失っているのではあれば、自分が自分らしく話せる状態に持っていける「雑談ネタ」を持つことだ。
それが出身地の話でもいいし、好きな食べ物の話でもいい。ある女子学生は「納豆がとにかく好きなんですよ」で、納豆に何をかけて食べるのがうまいかについて熱く語り面接官を虜にしていた。
意外に面接官は学生との面接でのコミュニケーションを楽しみたいと思っているのだ。
それを学生が勝手に「硬いコミュニケーション」でなければならないと思い込み、ガチガチに緊張してしまい自分らしさを失っている。
立派な志望動機も、聞こえの良い自己PRもいいが、何よりも面接官とのその場のコミュニケーションを楽しむという意識を持ってぜひ雑談する気持ちで面接に臨んでほしい。
そうすれば、そこには必ず自分と相手の笑顔が生まれるはず。その笑顔が必ず緊張から自分を解放してくれる。
就活生のみんなも、自分らしさを忘れずに頑張ってほしい。