例えば一般の住宅ローン控除の場合でいうと、平成26年4月から平成29年12月までの拡充された住宅ローン控除は、一般の住宅の対価の額に含まれる消費税の税率が8%または10%である場合に適用される金額であり、それ以外の場合は拡充前の借入限度額とする旨の記載がなされています。
これはどういうことかというと、拡充後の住宅ローン控除等は消費税率引き上げ後の価格上昇分を補てんするためのものであり、従って、もし消費税率アップが予定どおり実施されないのであれば、拡充されない住宅ローン控除等が引き続く可能性があることに含みを持たせている税制改正なのです。
つまり、指定日の前日までの請負工事等の契約であれば消費税率5%のままで、拡充前の住宅ローン控除の対象となり、指定日以降の請負工事等の契約であれば消費税率8%課税となるが拡充後の住宅ローン控除を適用できる、ということです。
消費税率引き上げ前に関連して経過措置が続々……
消費税率引き上げ前後の経済混乱はできるだけ避けることを目的とした経過措置は、住宅の取得にだけとどまりません。現在発表されている主だった経過措置には、以下のようなものがあります。- 旅客運賃等に関する経過措置 : 旅客運賃、映画等の入場料金に対する対価で、政令で定めるものを施行日前に領収している場合は旧税率を適用
- 電気料金等に関する経過措置 : 施行日前から継続して供給し、または提供しているもので、施行日前から平成26年4月30日までの間の料金は旧税率を適用
- 資産の貸付けに関する経過措置 : 指定日の前日までの間に締結された一定の資産の貸付契約については、旧税率を適用。ただし、対価の額の変更が行われた場合には新税率を適用
- 役務の提供に関する経過措置 : 指定日の前日までの間に締結された役務の提供に係る契約で一定の要件を満たすものについては、旧税率を適用。ただし、対価の額の変更が行われた場合には新税率を適用
今後、消費税に引き上げが現実的になるに連れ、このような経過措置は、消費税率引き上げ前後の経済混乱はできるだけ避けるのが目的であるので、電気料金等に含まれるものは何か、請負工事等に含まれるものは何か、という視点は重要ポイントとなるでしょう。ともあれ、消費税アップ予定日の半年前から、消費税引き上げ対対策が講じられているのが最大のポイントです。
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