ユーザーに不都合な縦割り業界
不動産業界は、典型的な縦割り組織である。大手では、ほとんどが新築分譲(彼らはこれを開発と呼ぶ)、仲介(法人と個人にさらに分かれるケースが多い)、賃貸(売買や仲介とはまったくといっていいほどバリューチェーンが異なる)、リフォーム、注文住宅をそれぞれカテゴリーごとに別法人化している。必要とする知識やノウハウが違うため、組織を分かち特化したほうが収益拡大への近道だと判断するからだ。おかげで顧客であるはずの一般ユーザーが割を食う。例えば、新築マンションと中古マンションを並行して探そうとすると、2つ以上の企業(つまり、ふたり以上の営業担当)とコミュニケーションしなければならない。自分の薦める物件が一番だと主張するのは火を見るより明らかで、本当に客観的なアドバイスが欲しくてももらえないのが現状だ。
しかし、市場は絶えず変化している。需要のパイが限られてくると予測できるなら、供給側は柔軟に策を打たねばならない。何でも揃う大型スーパーが専門商店街に台頭してきたように、総合アパレルとして世界展開を試みるユニクロのように、「顧客本位」を掲げ実践できる企業群だけがこれからは生き残っていける。
迷走を繰り返す!? 住まいの相談サロン
「住まいのことなら…」と、はじまって「お気軽に立ち寄れるサロンをご用意しました」というキャッチフレーズ。どこかで聞いたような言い回しだ。じつは富裕層向けには、これまで多くのサプライヤーがトライしてきた歴史がある。広尾ガーデンヒルズのモデルルームにその原点を見出せる三井不動産販売の「リアルプランセンター」は、顧客深耕を目的に東京ミッドタウン内に「リアルプランサロン」をオープン。2007年のことだ。詳しくは「業界初!富裕層特化型プライベートサロン」を。都心の高級マンションのパンフレットがすべて閲覧できる場所だった。当時はミニバブル。業界が活況を呈すなか、三菱がこれに追随。その「丸の内サロン」は現存しない。
この手の施設は、市況が冷え直間比率が見直されると、真っ先に槍玉にあがるのだろう。民間企業だけに仕方のないことだ。とはいえ、テーマ自体が本質に近いことに変わりはなく、以後「東急の住まいコンシェルジェ」、「三井の住まいモール」、少しジャンルは異なるが「住友不動産のマンション総合ギャラリー」などに試行錯誤の変遷を見ることができる。
丸の内に「三菱地所のレジデンス ラウンジ」を開設
さて、そんな流れにあらためて参加表明したのが三菱地所グループだ。地元丸の内の、それもJR山手線「有楽町駅」から徒歩1分の、ビル1階に路面店として開設。4月12日にオープンした「三菱地所のレジデンス ラウンジ」である。顧客層を限定せず、住宅の垣根をすべて取り払ったサロンは、敷居の高さを感じないようドリンクの無料サービスや丸の内の駐車場サービス(三菱地所ホーム会員など一部限定)、各種イベントやセミナーを開催し、気軽な来場を呼び掛ける。
マンションのモデルルーム来場者や注文住宅のオーナーが入会する友の会とは別に、「三菱地所のレジデンス ラウンジ」の会員組織も立ち上げた。いまならオープンキャンペーンとして、チョコレートの宝石と呼ばれる「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」が期間限定でプレゼントされるという。ここではコンシェルジュが常駐。いつでも相談ができる。
<三菱地所のレジデンス ラウンジ>
所在 : 東京都千代田区1-12-1 新有楽町ビル1階
交通 : JR山手線「有楽町駅」から徒歩1分
営業時間 : 平日11:00~20:00、土日祝日10:00~20:00
定休日 : 水曜日
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