寒天のバリエーションが豊富に
粉末タイプの寒天。水でもどす必要がなく、手軽に使え、品質は均一。
糸寒天は、主にテングサ、角寒天はテングサとオゴノリ、粉末寒天は主にオゴノリというように、原料によって形状や性質が異なります。
伝統的に作られてきた角寒天や糸寒天(天然寒天ともよばれる)は、使う前に一旦水戻しや裏ごしする必要があり、ゼラチンなどと比べると使うのが面倒という印象がありましたが、粉末やフレークタイプの寒天(工業寒天ともよばれる)が登場し、水戻しや裏ごしが不要でとっても便利になりました。
和菓子やお料理の寄せものだけではなく、アイスクリームやジャムなどの品質の安定性を高めるためや、麺類のつなぎ、介護食のとろみ剤、保存食などにも使用されます。
また最近は、写真のような電子レンジで簡単に溶かして使えるタイプ等で、ごはんを炊く時にはポンといれるだけでコーティングされて、おいしく炊きあがるなど、様々なタイプ、用途のものが増えています。
角寒天/水漬けと裏漉しが必要で、品質は不均一。家庭料理用。
糸寒天/水漬けと裏漉しが必要で、品質は不均一。保水性がよく、和菓子用。
粉末寒天/純度が高く、品質は均一。水で戻す必要がなく、使いやすい。
フレーク寒天/純度が高く、品質が均一で、保水性が高い。焦げ付きにくい。
固形寒天/錠剤のような形状で、定量で作られるため計量の必要がない。品質は均一。
寒天を使う時の注意と他の凝固剤との違い
電子レンジで手軽に溶かして使えるタイプ「高槻寒天・清水」。和菓子や寄せものに使えるだけでなく、ごはんを炊く時に一緒にいれるだけでつやつやごはんに仕上がります。
問合せ/かんてんショップ 心太
水を固める場合には、ゼラチンは透明でやや黄色みがありプルンとした食感なのに対して、寒天は白濁しサクッとした食感。アガーは透明で、プルンとした食感。常温でゼラチンは溶けますが、寒天とアガーは常温でも溶けません。
それぞれに特徴や使い方が異なりますし、アガーには、だまにならないようにブドウ糖が加えられているものもあるなど、商品によっても特性がありますので、作りたいものやお好みに応じて選びましょう。
一般的な使い方や注意点をまとめましたので、参考になさってください。
- 商品によりますが、一般的な寒天は、完全に溶解するには沸騰後5分から10分煮る必要があります。ゼラチンはあまり強く煮立てるとたんぱく質が変わりかたまりにくくなります。
- ゼラチンはたんぱく質なので、たんぱく質分解酵素を含む果物(パイナップルやキウイフルーツなど)は固まりません。その点寒天は分解されないので固めることができます。しかし寒天は、酸に非常に弱く酸味の強い果汁などを加えて熱するとかたまらなくなります。寒天を充分に煮溶かしておいて、ある程度さましてから混ぜることがポイントです。
- 寒天で作ったお菓子は水分が分離しやすいので、砂糖を加えると保水性が高まります。砂糖の濃度が高くなるにつれ、透明度が高く、かたくなります。
- ゼラチンは、25℃前後で溶け冷やして固めますが、寒天やアガーは79℃~85℃で溶け、常温で固まります。ゼラチンとアガーは、プルルンと柔らかい口溶け。寒天はサクッと歯触りのある口当たりがあります。
2005年に起こった寒天ブームでは、品薄が続き、急に需要が高まったかと思うとブームが去るといった具合に、生産者を振り回すことになったと思います。そもそも寒天が普及したのは、貧しい時代に保存が効く救荒食物だったからです。そこには、先人の知恵と工夫が込められています。
秋田のサラダ寒天や、愛媛県のいぎす豆腐など、寒天や寒天に似た海藻を使った料理等が、各地にあります。一過性のブームとしてでははなく、伝統の食文化として、また日々の食卓でおいしく楽しみながら、伝えていきたいものです。
高槻寒天「清水」
問合せ/かんてんショップ 心太
Manpuku かふぇ
所在地 高槻市南平台4丁目3-9
電話番号 072-692-2626
かんてんショップ 心太(ところてん)
所在地 高槻市下田部町1-20-26
電話番号 072-676-1122
参考/
・まんが高槻寒天物語(高槻寒天プロジェクト)
・江戸時代 食生活事典(雄山閣)
・ニユートータルクッキング(講談社)
・食品成分表2013
・タカラバイオ株式会社
その他