高値警戒感がでてきた東証リート指数
東証REIT指数は3月25日、終値で1637.47ポイントを付けました。同指数が終値どこまで上がる?東証リート指数
その後、同指数はサブプライムショックやリーマンショック、あるいはユーロ危機といった世界的な金融ショックの影響を受け、大きく下落しました。直近の安値は、2011年11月28日につけた805.64ポイントですから、上昇率は100%超にも達します。つまり、倍になったというわけです。
ここまで上昇すると、さすがに市場では高値警戒感が浮上してきます。現在、J-REITを積極的に買っているのは、投資信託と金融機関です。投資信託は、複数のJ-REITを組み入れて運用するファンド・オブ・ファンズが人気を集めており、そこからの資金流入がマーケットを支えています。
また金融機関では銀行が、J-REITへの投資にご執心の様子。銀行は、預金者から集めた資金で融資を行い、利ザヤを稼ぐのが本業とされていましたが、昨今は融資先の選別が厳しく、預金を通じて集めた資金の運用先に困っているのが現状です。これまでは、融資に回しきれない余った資金は、国債の購入に回っていましたが、昨今国債の利回りも0.6%台まで低下しているため、少しでも高い利回りを得ようと、J-REITの買いを進めてきています。
したがって、今後のJ-REITの動向を見るうえでは、投資信託と金融機関の買いが、どこまで続くのか、という点がポイントになると思われますが、金融機関は4月に入ると、決算対策で保有資産の一部を売却します。すでに保有しているJ-REITには、かなりの値上がり益があると見られており、4月にかけては金融機関の売りが出てくるでしょう。
しかし、一方で投資信託がこれまでと同じペースで買ってくれば、金融機関の売りを吸収してしまうため、大きな値崩れはないというのが、市場関係者のコンセンサスになっています。
とはいえ、個別銘柄の配当利回りを見ると、3%を割り込み、2%台まで低下しているものも散見されるようになりました。J-REITの配当利回りは、信用力の高い銘柄ほど低くなる傾向があります。したがって4%、あるいは5%の配当利回りを狙うなら、多少の信用リスクを覚悟する必要があります。
したがって、J-REITに投資する際には、自分自身が負えるリスクとリターンの関係をしっかり見極めて、銘柄選別を行う必要があります。