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将棋初心者が強くなるには詰みの形を覚えること
将棋は相手の玉を、どこにも逃げられないようにする『詰み』という状態に追い込むと勝ちになります。写真は、有名な頭金という『詰み』の形。歩の前に、持ち駒の金を打てば、玉は逃げることはできず、歩で取られてしまうので玉で金を取ることもできません。
このような状態を『詰み』といいますが、将棋で勝てるようになるためには、さまざまな詰みのパターンを覚え、より早く相手玉を詰ますことができるようになることが大切です。詰将棋は、もうすぐ相手玉を詰ますことができる状態を切り取って問題にしたもの。将棋教室などでは、家でもできる将棋のトレーニングとして詰将棋を勧める例が多く、上達のために毎日必ず詰将棋を解くという子どもも多数います。
詰将棋は必ず奇数手詰
基本中の基本の1手詰は、自分が1手指せば、相手の玉がどこにも逃げられなくなるというもの。3手詰は、- 自分が王手となる手を指す
- 相手側が王手から逃れる手を指す
- 自分が王手をして、どこにも逃げられなくする
というものです。手数が増えても最初と最後は自分の側(攻め方)が指し、自分の側は必ず王手というのは変わりません。なので、必ず詰将棋は奇数手詰になります。
本などの印刷された詰将棋の問題は、自分の側(攻め方)の手だけでなく、相手側(玉方)の手も考えて、解答します。スマホ用の詰将棋のアプリや、パソコンにインストールする詰将棋ソフト、DSなどゲーム機用詰将棋ソフトでは、自分の手だけをタッチなどで解答し、相手側の手は自動的に指される仕組みになっているものが多いです。
詰将棋をやったことのない人におすすめの詰将棋本は、日本将棋連盟から発行されている『1手詰ハンドブック』。詰将棋作家としても有名なプロ棋士、浦野真彦八段の作品です。『1手詰ハンドブック』は、冒頭に、駒の動かし方といった将棋のルールと『攻め方の手は、必ず王手』『持ち駒は余らない』といった詰将棋のルールが説明されていて、将棋を知らない人でも、ここから読めば、1手詰の問題に取り組むことができるようになっています。
名著と評判の〇手詰ハンドブック
〇手詰ハンドブックはシリーズになっていて、同じ浦野真彦八段の作品で、他にも、3手詰、5手詰、7手詰のハンドブックがあります。日本将棋連盟から、3手詰ハンドブック(黄色)、3手詰ハンドブック2(青)、5手詰ハンドブック(赤)、5手詰ハンドブック2(緑)が発行されました。いずれも評判が高かったのですが、現在は絶版となり、将棋の本を多数出版している浅川書房から、新版3手詰ハンドブック(黄色)、新版5手詰ハンドブック(青)、7手詰ハンドブック(オレンジ色)が発行されました。
いずれも冒頭に詰将棋の基本的なルールが説明されています。
絶版となった以前のハンドブックとは、デザインはほぼ同じですが、浦野八段が新たに問題を作り直し、7割程度の問題は違うものになっています。〇手詰ハンドブックシリーズは、将棋の上達に役立つ本として、将棋大会の賞品としてもよく使われています。
詰将棋本は何度も繰り返して解こう
このシリーズは、1手詰は300問、3、5、7手詰は200問。すぐに解き終わりそうで、もったいないと感じる人もいるかもしれません。ですが、詰将棋は、一度解いたら終わりではありません。何度も何度も繰り返して解き、詰みのパターンを暗記してしまうのが勝利への近道です。繰り返すことで、実際に将棋を指して終盤を迎えたとき、パッと詰ます方法が思い浮かぶようになります。ある程度詰将棋が解ける人であっても、時間を計って1冊を何分で解けるかチャレンジしてみるタイムトライアルの楽しみ方もあります。将棋が強くなっていく子どもたちからは、詰将棋の本を繰り返し解いているという話をよく聞きます。ボロボロになり、綴じ目の部分が切れて、バラバラになってしまった詰将棋の本も見ます。バラバラになってしまうと直すのが大変なので、少し綴じ目が弱ってきたら、テープなどで早めに補修しましょう。
詰将棋専門誌が提供する人気アプリ
スマホ向けの詰将棋アプリも最近は人気を集めています。『詰将棋パラダイス』は、詰将棋専門の月刊誌。レベル別に詰将棋の問題が掲載され、50手を超す長手数の詰将棋も載るなど、難問が揃っています。プロ棋士やプロの養成機関である奨励会の会員の愛読者も多いそう。その詰将棋パラダイスが提供している、『詰将棋パラダイススマホ支店』は、2000問以上も詰将棋が楽しめるアプリ。Android用、iPhone用、両方あり、日々問題が増えています。解く速さを競う『タイムアタック』などの機能もあります。このアプリはなんと無料。問題はレベル別になっていて、一番やさしいレベル1であっても、1手詰はほとんどなく、3手以上のある程度詰将棋に慣れた人向きの問題が中心になります。
最初は低いレベルの問題しか見られないようになっていますが、正解数によってレベルが上がり、難しい問題も解けるようになっていきます。レベル7になると、創作もできるようになり、自分の詰将棋作品を投稿して、条件に合うものであれば採用されます。
何手か分からない詰将棋が出題
先に紹介した〇手詰ハンドブックシリーズは、3手詰なら3手詰だけが集められたものですが、詰将棋パラダイススマホ支店では、短いものから長手数のものまでの詰将棋が提供されています。詰将棋には、〇手詰と明記されているものと、何手詰か分からないものがあります。〇手詰と分かったほうが解きやすいのですが、実際の将棋では相手の玉があと何手で詰むか分からないところで詰まさないといけません。なので、何手詰か分からない詰将棋でも解けるようになったほうがいいわけです。このアプリでは、何手詰か分からない形で問題が出ますが、詰将棋パラダイスで活躍する詰将棋作家、市原誠さんの3手詰だけを集めた『市原誠の詰将棋2』など、〇手詰だけの姉妹アプリも、無料で提供されています。
詰将棋は、将棋専門メディアにも、毎号、難易度が違う問題がいくつも掲載されていますし、スポーツ紙やニュース週刊誌などでも、頭の体操として詰将棋が掲載されていることがあります。意識してみてみると、詰将棋は案外、身近に見つかるかもしれません。
詰将棋を解くこと自体が楽しいという人も多数いて、詰将棋解答選手権という、詰将棋を早く正確に解く競技会も開かれています。将棋上達のための義務と考えるのではなく、通勤通学の時間帯や、ちょっとした合間に手軽に取り組める将棋パズルとして詰将棋に取り組むうちに、自然に将棋が上達していると嬉しいですね。
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