VOLVO(ボルボ)/ボルボ

プレミアムカーの新たな潮流、Cセグに登場したV40

ミドルクラスステーションワゴンで一時代を築いたボルボが、5ドアハッチバック市場に投げこんだ“渾身のストレート”V40。ドイツプレミアム勢の1シリーズ&Aクラスとの比較を通じて、その魅力を掘り下げてみます。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

5ドアハッチバック市場に投げこんだ“渾身のストレート”

ボルボV40

ボルボのラインナップ中、最もコンパクトな5ドアハッチバック。1.6リッター直4ターボを搭載、ベーシックグレードのT4(269万円)と安全装備など装備をさらに充実させたT4 SE(309万円)をラインナップする


そういえば、名車850エステートがそのマイナーチェンジでV70へと名称変更された際、Vは決してバン(VAN)のVではなく、多彩・多様性を意味するヴァーサリティの頭文字をとってVだ、と説明された記憶がある。

とはいえ、その後登場した一連のボルボのVシリーズは、すべからくステーションワゴンテイストを強く打ち出したモデルばかりだったから、新型V40が昨年のジュネーブショーでお披露目されるまで、そんなことなどすっかり忘れてしまっていた。

そういうわけで、ボルボ初の欧州Cセグメント用本格5ドアハッチバックモデルがVを名乗って登場したことに、随分と驚かされたものだ。しかも、間違いなく、ジャーマンプレミアムブランド、つまりはアウディA3、BMW1シリーズ、M・ベンツAクラス、あたりをライバルとして意識したであろう、仕上げレベルをみせている。しかも、これらのモデルチェンジが今、ほぼ重なっていることを考えあわせれば、かえってボルボの、この激戦Cセグに殴り込みをかけるという真剣さも伝わってきて……。

新型V40は、ミドルクラスステーションワゴンで一時代を築いたボルボが、ヨーロッパにおけるもうひとつの根幹=5ドアハッチバック市場に投げこんだ“渾身のストレート”、直球勝負というわけである。

欧州Cセグメント花盛りの2013年

そうとなれば、単純なインプレッション報告を試みるよりも、実際にドイツプレミアム勢との比較と通じて、V40の魅力を掘り下げてみる方が手っ取り早い。残念ながら、新型A3の日本上陸が遅れており、また、筆者も未経験のため、今回は日本市場においてよりステータス性の高い強豪、メルセデスベンツAクラスとBMW1シリーズを比較対象として原稿を進めていきたいと思う。
メルセデス・ベンツAクラス

トールタイプから“スポーツコンパクト”にモデルチェンジを果たしたM・ベンツAクラス。1.6リッター直噴ターボのA180(284万~335万円)と、AMGが開発に参加したスポーティなA250シュポルト(420万円)をラインナップ

BMW1シリーズ

プレミアムコンパクト唯一のFR(後輪駆動)をもつBMW1シリーズ。116i(308万~318万円)に136ps、120i(367万~387万円)には170psとなる1.6リッター直噴ターボを搭載。Mパフォーマンス・オートモビルの第1弾となるM135i(549万円)もラインナップ


後輪駆動の1シリーズはともかく、特にV40とAクラスとの比較は筆者としても興味のそそられるところだ。

アルファロメオジュリエッタ

2012年に日本に登場した、アルファロメオ ジュリエッタ。1.4リッター直噴ターボのスプリント(318万円)と1.75リッター直噴ターボのコンペティツィオーネ(358万円)、クアドリフォリオ ヴェルデ(388万円)をラインナップ

なぜなら、メルセデスもAクラスを、今回のフルモデルチェンジを機に、従来の背高スタイルからCセグメントコンシャスなFFハッチバックスタイルへと改めてきたからだ。そういう意味では、メルセデスもまたボルボと同じ立場、だから余計に気になるというわけだ。

ドイツプレミアム勢の牙城を立ち向かうボルボ、という構図は、たとえばレクサスやアルファロメオといった非ドイツ勢とも重なるから、“敵の敵はまた敵”というわけで、CT200hやジュリエッタあたりもまたクルマ的にはライバルになりえる。特に、レクサスなどは、その立ち位置やブランドイメージ的にみても、ボルボの好敵手たりえる。

フォードフォーカス

フォード初のグローバルプロダクトとなるフォーカス。日本ではスポーツサスや専用ボディキットを備えた、5ドアハッチバックのスポーツ(293万円)のみとなる

ちなみに、欧州Cセグメントといえば、これを抜きにして語れないVWゴルフという巨人もあるが、モデルキャラクターのプレミアム性において同じ土俵に立たない。けれども、その完成度は非常に高いことが容易に想像され、これもまた今年、新型モデルが日本に上陸する。

その他、フォードフォーカスも久々に上陸を果たしており、その完成度は非常に高かった。とにかく、2013年の日本市場は欧州Cセグメント花盛りの年であって、その激戦市場を初陣ボルボがV40でどう戦うのか、ボルボ好きならずとも気になろう。
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