斜視というのはバリエーションが多く、斜視だけで本が1冊になるぐらいで、とてもここですべてを書ききれるものではありません。ここでは斜視の中でも多いパターンにしぼって、基本情報を簡潔に解説したいと思います。

斜視とは

臨床の現場では、「両眼が同じ方向を向いていない状態が常時続いている状態」、ないしは、「両眼が同じ方向を向いていることもあるが、時に自分の意思に反して同じ方向にならなくなる状態」を「斜視」と呼んでいます。

斜視の種類(特殊型を除く)

■外斜視
片目を正面に向けたとき、もう片目がまっすぐより外に向いているもの。常時外を向いているものを「恒常性外斜視」、正面を向いている時もあるが、ボーッとした時などに外を向いてしまうものを「間歇性外斜視」といいます。

■内斜視
片目を正面に向けたとき、もう片目がまっすぐより内側に向いているもの。ほとんどが常時内側を向いているものだが、人間には遠視眼で物を見ようと努力すると目が内側に向くという性質があるので、強い遠視があるために内側に向いている人もいます。これを調節性内斜視と呼びます。

■上下斜視
臨床の現場では、外斜視・内斜視と比べ少ないです。利き目で物を見たときに、もう片方の眼が上になってしまうのを上斜視、下になってしまうものを下斜視と呼びます。

斜視の原因・メカニズム

ものすごく簡単に言うと、そのように生まれてきたということでしょう。なので、原因もメカニズムも特にありません。

斜視の症状・主訴

  • 見た目が悪い
    臨床の現場での患者さんの主訴で、一番多いのはこれです。
  • 二重に見える(複視)
    眼が大きくずれていると、片方の眼の見えを頭の中でうまいこと消してしまう作用(抑制といいます)が起きます。そのため、大きくずれている人は逆に大丈夫なことが多いのですが、少しだけずれている人は抑制がかからず、複視が発生する場合があります。

斜視の治療・手術法・手術費用

斜視

実際に私が斜視手術を行った患者さんの手術前・後の症例画像です

斜視の治療は、基本は手術です。費用は、動かす筋肉の数などにもよりますが、3割負担で5万円(入院費用を除く)を見ておいてください。私は入院なしで手術をしていますが、手術の晩に痛みが出ることもありますから、入院を勧められた場合は素直に入院されることをお勧めします。

眼には6つの筋肉がついています。特殊型を除き、6つの筋肉の中で基本的となる、上下内外に動かす4つの筋肉(上直筋、下直筋、内直筋、外直筋)を手術で操作して、眼の方向を変えます。

■短縮法
筋肉を切って縮めることによって、眼を動かす方法。例えば、内直筋を短縮すると、内側に動きます。

■後転法
筋肉を付着部で外し、今までの付着部よりも後ろ側、すなわち、筋肉を緩める方向に付け替えることによって、眼を動かす方法。例えば、内直筋を後転すると、外側に動きます。

■短縮と後転の併用
例えば内直筋を短縮し、外直筋を後転することによって、より大きく内側に動かすことができます。


ここまでは斜視の基本知識ですが、次ページでは実際の眼科医としての経験から、斜視手術を検討されている患者さんにぜひ知っておいていただきたいことを書きます。斜視手術の限界とリスク、手術の考え方などについてです。