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好成績を続けることができるかJPMザ・ジャパン

衆議院の解散表明後、日経平均株価は3ヵ月で4割強も上昇しています。個別株投資が苦手な人であれば投資信託の活用を考えるところですが、利にさとい投資家が、好成績の日本株ファンドに殺到。JPモルガン・アセット・マネジメントの「JPMザ・ジャパン」は資金急増により、新規募集が停止されたと述べましたが、早くも信託金を増額を引き上げ募集を再開する予定です。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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動向に注目したいJPMザ・ジャパン

動向に注目したいJPMザ・ジャパン

JPMザ・ジャパンの信託金は2000億円に倍増

アクティブ運用型の日本株ファンドで、好成績かつ専門家の評価が高い、JPモルガン・アセット・マネジメントの「JPMザ・ジャパン」(「JFザ・ジャパン」という名称から変更)。年明け以降、新規資金が急増したことから、平成2013年3月5日の申し込みで新規募集を停止したことを述べましたが、同年4月1日から新規募集を再開することが決まりました。

信託金をこれまでの1000億円から、倍額の2000億円に引き上げたことによるものです。購入ができなかった投資家には朗報と言えるでしょうが、既に保有している投資家にとっては朗報とは言えないかもしれません。

商品名の「JPMザ・ジャパン」だけでファンドの中身が解る人は、相当の投資信託通と思われますので、簡単にその特徴を述べることにしましょう。

設定日は1999年12月15日ですから、日本株ファンドの中では運用履歴の長い老舗ファンドといった感じです。「日本の産業構造が変化していく中で、利益成長が高く、株主を重視した経営を行っており、かつこれらの状況を市場が株価に折り込んでいない企業に投資を行います」と交付目論見書に謳われています。

交付目論見書の特色は杓子定規な文章なので、筆者が運用報告書、マンスリーレポ-トなどから咀嚼したイメージは、選択と集中という独特の運用スタイルで、市場や時価総額などの企業規模は問わず、積極的に売買を行い貪欲に値上がり益を追求していく投資信託と言えるでしょう。

積極的に売買を行っていることを示すデータに「売買高比率」があります。運用報告書によれば、2010年は5.80、2011年は3.31、2012年は4.75になっています。売買高比率が1の場合、理論的には1年間の間に全銘柄が入れ替わったことになりますので、2010年は5.8回転、2011年は3.31回転、2012年は4.75回転も売買が行われたことになるのです。

銘柄選択眼もしかる事ながら、この機動的な売買回転率が好成績の鍵を握っていると考えられ、その運用成績は2013年2月28日基準のマンスリーレポートによれば、1ヵ月という短期から設定来まで、どの期間を取ってもベンチマークであるTOPIX(配当込み)を凌駕しているのです。ちなみに、設定来の基準価額の騰落率は227.8%です。

資金を倍増しても好成績は持続できるのか

信託金の上限を倍増して2000億円にしたことは、購入できなかった投資家にはチャンス到来と述べましたが、長年好成績を信じて投資信託を託してきた投資家にとってはむしろマイナスとなるかもしれません。

JPMザ・ジャパンは、売買回転率を高くして機動性をあげる、高い値上がり益を確保するためには、小型株を厭わない選択眼と集中がメリットなのですが、そのメリットが増額によって打ち消されてしまうかもしれないのです。

たとえば、2013年1月31日現在の組入上位10銘柄の内、1位のJトラストは大証2部、2位のナノキャリアは東証マザーズ、5位のレーサムはJASDQ銘柄、8位のメディネットは東証マザーズと4銘柄が新興市場銘柄です。大まかな数字になりますが、前記4銘柄の中で組入額が低いメディネットでも、純資産総額ベースの組入金額は約15億円。

2013年1月4日以降のメディネットの売買代金が1番多かった日で約100億円です。同年1月末の純資産総額は約592億円でしたから、株価に大きな影響を与えずにメディネットを売買することができたと思われます。しかし、単純に純資産総額が2000億円近くになった場合に、メディネットのような小型株を積極的に売買したときに株価に影響を与えず売買できるでしょうか。

あるいは、メディネットのような小型株を組み入れたとしても、かつてのような集中投資をすることができなくなり、仮にメディネットが高騰しても運用成績に与える影響も小さくなってしまい、結果として好成績を持続していくことが難しくなる可能性が高まっていると思われてならないのです。

新規募集の再開は4月1日から。どのくらいのペースで資金が流入するのか、あるいは資金が流出してしまうのかも知れません。現段階で判断を下すことはできませんが、4月以降のJPMザ・ジャパンの動向は、十分注意して見ていきたいと思います。

なお、「メディネット」はあくまでも具体的なたとえとして使用した銘柄であって、意図があるわけでありません。

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