小さなロースターを開いた近藤佐代子さんのコーヒー・ヒストリー

CAFE SORTEのコーヒー豆袋と、ハンドピックで取り除いた豆を入れたガラス。

CAFE SORTEのコーヒー豆袋と、ハンドピックで取り除いた豆を入れたガラス。

2012年に発売した本『コー ヒーピープル』でご紹介させていたいた焙煎人、近藤佐代子さん。取材でおじゃました当時、古い蔵 はまだ自分たちでこつこつと改装中でした。

2013年、改装を終えた蔵は焙煎工房、および小さなカフェとしてオープン。今回の記事は『コーヒーピープル』でたどった近藤佐代子さんのコーヒーの道のりと、新しく誕生した蔵のカフェをご紹介します。

CAFE SORTEのネット通販

焙煎前の生豆と、焙煎した豆を並べて。

焙煎前の生豆と、焙煎した豆を並べて。

CAFE SORTE(カフェソルテ)のWebサイトをクリックしてコーヒー豆を注文すると、二、三日後に褐色の紙袋に入った新鮮な焙煎豆が届く。袋に貼られているセンスの良いラベルは、焙煎人である近藤佐代子さん自身が印刷し、一枚ずつていねいに切りぬいてつくる。

そういう根気と、思いきりのいい決断と、行動力の三つの歯車が噛みあって、近藤さんの人生を前進させてきた。「ラベルづくりは僕が手伝ってもいいんだけど、彼女は完全主義だから、ちょっとでも曲がるとやり直しをさせられそうで」と夫の菅野秀幸さんは笑う。

ふたりの仕事には植物という共通点がある。菅野さんは造園デザインを手がけており、近藤さんはかつてハワイ島コナ地区にある小さなコーヒー農園に三ヵ月間ホームステイして、コーヒー栽培のお手伝いをしていた。

ハワイ島のコーヒー農園で育てたもの

近藤さんが滞在したハワイ島のコーヒー農園。

近藤さんが滞在したハワイ島のコーヒー農園。

十代のころから豊富な海外生活体験をもつ近藤さんだが、とりわけコーヒー農園で過ごした日々は「人生の特別な期間」だった。汗を滴らせて植物のいのち、土の力と向きあう時間は、植物を育てながら自分の心をもみずみずしく育てていく。

農園には若木も、樹齢百年になる古木もあった。収穫期には実を一粒ずつ手摘みするので、枝が伸びていくかたちをイメージしながら、摘みやすい高さと方向に剪定する。

「コーヒーの樹は、栄養が不足してくると、葉を枯らしてでも実に栄養をいきとどかせようとします。熟したコーヒーチェリーは、樹のエネルギーの集大成なんですよ」

近藤さんのハワイ生活は次ページで。