神田・古書店街の路地裏にオープンした「眞踏珈琲店」

眞踏珈琲店の外観

眞踏珈琲店の外観

歴史ある喫茶店や古書店、万年筆店などが密集する神田神保町。2016年9月、駿河台下交差点から歩いて2分ほどの狭い路地に、眞踏珈琲店(まふみこーひーてん)がオープンしました。

1階はカウンター席中心で喫煙も可能。ひとりで訪れたお客さま同士でも、なんとなく会話が始まります。
1階はカウンター席が中心

1階はカウンター席が中心

静かな禁煙空間を求める人は、壁面に書物が並ぶ階段を上がって2階へどうぞ。そこは魅力的なラインナップの本や漫画が並ぶ書架に囲まれて、コーヒーを楽しみながら読書や仕事に没頭できるブックカフェの趣。本棚のひとつには、英国スパイ映画のような隠し扉が仕込まれています。
2階の一角

2階の一角



自家焙煎珈琲とカレーとサンドイッチ

デミタスコーヒーと「ルッコラの海に溺れるクロックムッシュ」

デミタスコーヒーと「ルッコラの海に溺れるクロックムッシュ」

私は初回は2階でカレーとコーヒー、2回目は1階のカウンター席で、みずみずしいルッコラ満載のクロックムッシュとデミタスコーヒーをいただきました。

種類を絞った料理とスイーツは、カルピスバターをケーキに用いるなど、それぞれ良質の素材を活かしたおいしさですが、「お客さまにカレーを褒めていただいても、この界隈は有名カレー店ばかりだから、いやもう、ごめんなさいとしか言えない(笑)」と、店主の大山眞踏さん。
コーヒー焙煎機

コーヒー焙煎機

2階の一角に置かれた焙煎機でローストするコーヒーは、大山さんが自作するランブル型のネルを用いて、お湯を点滴するようにドリップされ、大倉陶園の端正なカップで供されます。もしあなたがコーヒーがお好きであれば、上品なコクのあるデミタスコーヒーをおすすめします。
店主自身がドリップ用のネルを抜い、枠を作っています。

店主自身がドリップ用の大小2種類のネルを抜い、枠を作っています。

コーヒー豆は1種類のみ、ブラジル・サントスNO.2のスクリーン19。このスタイルを聞いて青山の名店、自家焙煎珈琲の蔦珈琲店を思い浮かべる喫茶店好きもいるかもしれませんね。

そう、大山さんは学生時代に蔦珈琲店に感銘を受けて4年間ほぼ毎日のようにお客さまとして通いつめ、その後4年に渡って蔦珈琲店で修行を重ねた後、眞踏珈琲店をオープンしたのです。はたして大山さんは蔦珈琲店のどこにそれほどまでに惚れ込んだのでしょうか?


青山・蔦珈琲店に魅了されて

階段横にも本が多数。

階段横にも本が多数。

学生時代に社会学を専攻し、貧困をテーマに都市型スラムを研究していた大山さん。アメリカに住み、フィールドワークのためにニューヨーク・サウスブロンクスのスラムで1か月ほど自らホームレス生活を体験しながら論文を書いたのですがーー。

「もともと喫茶店が好きで、あちこちの有名店に行っていたんですが、日本に帰ってきて蔦珈琲店に行ったとき、『アメリカにもこんな場所はない!』と思ったんです。古いタイプの喫茶店なんでしょうけど、学生さんから大企業の社長、芸能人まで、とにかくいろんな人たちがステイタス抜きで、一律700円払ってカウンターに並んで会話をしているという空間が衝撃的だったんです。コーヒーがおいしくて、空間も庭の眺めもよくて、人もいい。こんなオアシスがあったのか!」
本棚に並ぶ舞城王太郎を読みながら

2階にて、本棚に並ぶ舞城王太郎を読みながら

大山さんが薫陶を受けたのが、蔦珈琲店を長く一人で営んできた小山マスターのお人柄。蔦珈琲店の魅力は、つきつめると長い歳月、毎日喫茶店のカウンターに立って多種多様なお客さまと無駄話をやりとりしながら生きてきた小山マスターという人物の魅力にほかなりません。

「マスターがよく言っていたのは、『大事なのは、何を選ぶかじゃない、何を捨てるかだ』。あの人はいろんなものを捨てながら生きてきたんでしょうね(笑)」


喫茶店の街だからこそ

コーヒーをドリップする大山さん

コーヒーをドリップする大山さん

さて、ずっと青山で過ごしてきた大山さんが、なぜ神田という場所を選んだのでしょうか?

「ひとつには、昼間に人がいること。ふたつめは、街にコーヒー文化があって喫茶店が多いこと。第三に、本との親和性です。平日に仕事をしている人が多い街がいいと思ったんです。よく『神田は激戦区なのに』『ライバル店が多い』と言われるんですが、僕はライバルというより仲間だと考えていて。喫茶店がこれだけ多いということは、<喫茶店がやっていける街>だということ」
佐藤郁哉さんのフィールドワークは、学生時代の大山さんに大きな影響を与えた

佐藤郁哉さんのフィールドワークは、学生時代の大山さんに大きな影響を与えたそうです。

Twitterで議論などしたくないからと、最初から振り切ったテンションで叫んでいる眞踏珈琲店公式ツイッターや、大山さんが万年筆愛好家であるためにスタッフ全員に万年筆をプレゼントして、みな制服のベストの胸ポケットに万年筆をさしているという素敵さも含めて、この喫茶店の魅力は尽きないのです。


MENU

コーヒー 700円(おかわり350円)
デミタスコーヒー 800円
ブラン・エ・ノワール 800円
紅茶 700円
フレッシュ/オレンジ 900円
ビール/グラスワイン/サングリア 各800円

コーヒーとケーキ 1200円
カレーライス 1300円
ルッコラの海に溺れるクロックムッシュ 1300円


shop data

眞踏珈琲店(まふみこーひーてん)
【住所】東京都千代田区神田小川町3-1-7
【TEL】03-6873-9351
【OPEN】11:00 - 23:00、日祝:12:00 - 21:00
【CLOSE】無休
【Web】http://mafumicoffee.html.xdomain.jp/
【最寄り駅】東京メトロ「神保町」駅A7出口、または都営新宿線「小川町」駅より徒歩4分/JR「御茶ノ水」駅より徒歩8分
眞踏珈琲店の2階

眞踏珈琲店の2階

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