マンションの売却/マンション売却の基礎知識

売却VS賃貸 結局どっちがいいの?【2】(2ページ目)

今回は、前回に引き続き「売ったほうがトクな立地」「貸したほうがトクな立地」という観点から、売却にするか賃貸にするかの検証を行っていきたいと思います。

千葉 由里

執筆者:千葉 由里

マンションの買い替え・売却ガイド

目安は物件価格を賃料で回収するには何年かかるか

賃料何年分で物件価格が回収できるかがカギ
「マンションPER」とは、不動産の物件価格が何年分の賃料に相当するかを計算したものです。数字が小さいほうが、短い年数で回収できることになるので、収益力が高く、賃貸にしたほうがトクになる可能性が高いと言えます。マンションPERの数値だけでの判断は難しいものの、参考になるデータです。実際の数値については東京カンテイがランキングをホームページに掲載しているので、参考にしてみるといいでしょう。


***********************************************
マンションPER=マンション価格÷(月額賃料×12)
***********************************************

ちなみに、2008年のマンションPERのもっとも低い駅(収益性の高い駅)はJR山手線の品川駅でした。70m2の新築マンション価格の平均が5,349万円で、同じく70m2賃料は月額295,270円。この場合マンションPERは15.10となり、貸せば約15年で回収でき、そこから先は単純にマンションが生み出す利益ということになります。注)試算は賃料の上下やローンを考慮しない場合

次に低いのが東京メトロ丸の内線の中野新橋駅で、70m2新築マンション価格の平均が5,722万円で、同じく70m2賃料は月額247,789円。この場合マンションPERは19.24となります。以下四谷三丁目20.38、大江戸線両国20.43、三田線神保町20.52、大江戸線勝どき20.59と続きます。比較的都心の交通利便性の良いエリアが中心となっています。

では一方でPERが高いのはどのようなエリアでしょうか?同じく2008年の高価格帯でのランキングを見てみましょう。

マンションPERのもっとも高い駅(収益性の低い駅)は六本木で、70m2の新築マンション価格の平均が20,626万円で、同じく70m2賃料は月額366,761円。マンションPERは46.87となり、貸しても賃料の回収には約47年かかるということになります。通常のローンはだいたい35年程度ですから、それをはるかに超える年数がかかってしまうことになります。

同じく次に小田急線代々木八幡駅、東京メトロ銀座線赤坂見附駅、JR横須賀線鎌倉駅と続きます。これらは平均分譲価格が一億を超えるエリアで、良好な住宅地が多く、相対的に価格に比して賃料相場が低いといえます。このようなエリアでは、一般的に中古物件の価格も高く、貸すよりも売るほうがトクといえるでしょう。ただし、この数値はマンションの分譲状況などにより毎年変わるので、その時々の状況を常にウォッチしておきたいものです。なお、2009年のデータでは、“東高西低” の傾向で都心周辺部や城東エリアなどで高収益駅が微増しているようです。

次回は気になる利回りについて解説します。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます