住宅設計・間取り/住宅設計・間取り関連情報

都会でも、夢の煖炉と共に暮らす(2ページ目)

煖炉なんて贅沢。都会では無理でしょう。薪はどこで手に入れるの? 煖炉といえば都会では夢のアイテムのようですが、考え方を変えれば、充分楽しめます。建築家・鹿討直治さんの事務所を訪ねました。

塩野 哲也

執筆者:塩野 哲也

空間デザインガイド

乾いた薪を手に入れよう

煖炉の火
薪をくべる楽しさは、他に代え難いものです。生まれて初めて薪を燃やした若い所員も、半年もすればすっかり名人になり、自分のノウハウが一番だと自慢するそうです

鹿討さんが設計する住宅の大半に煖炉があります。なんと沖縄に建てた家にもあるそうです。最初は付けるつもりがなかった建主も、鹿討さんの事務所で煖炉を体験すると、自分も欲しいと言いだすとか。

では、薪の手配はどうすればいいのでしょうか。いま薦めているのは、リフォーム業者と仲良くすることです。廃材として木がでる量は、植木屋や新築木造住宅の方が多いのですが、それだとまだ生木なので、乾燥させたり割ったりする手間が必要です。

リフォーム業者が出す木の廃材ならば、十数年経っていますから充分に乾燥しています。新築住宅から出る木材も、まだ乾いていないことが多いのです。乾燥していないと火の付きが悪かったり、煙が大量に出たりまします。業者にとっても廃材処理にはお金がかかるので、事前に連絡をとっておけば、無料で譲ってもらえる事が多いようです。

煙突はとにかくまっすぐに

たのしむ
真っ直ぐに伸びた煙突。現在はステンレス製のパイプを使っています
煖炉の設計で最も注意が必要なのは、断熱と煙突の設計です。断熱は耐火煉瓦で行います。特に木造住宅の場合は、構造に使われている木材が、熱で炭化する危険があります。煖炉と部屋の壁の間に、耐火煉瓦の壁を設けます。そのとき、部屋の壁と耐火煉瓦の壁を数センチ離し、空気の層を作っておくとより安全になります。

煙突はとにかく真っ直ぐに、曲がる回数を少なくするのが大切です。曲がる回数が多いと、煙の排出が悪くなり部屋に充満する原因になります。煖炉の煙突は上昇気流によって、煙を外にだします。外気の冷たさと、熱い煖炉の熱の温度差によって上昇気流がおこります。

煙突が壁を通過する部分には、めがね石と呼ばれる、熱の伝わりにくい軽い石(煙突の穴が空いている)を取り付けます。煙突もかなりの高温になりますから、木部と触れるところには注意が必要です。煙突には煤を掃除するためのハッチを付けておきます。半年に1回ほど煤を掃除します。

DIY感覚でつくる「ピザ焼き釜」

ピザ釜
耐火煉瓦を積んだピザ焼き釜。本格的なピザが焼けます(写真提供:ナイト・スタディ・ハウス

ピザパーティ
屋外で食べるピザがまた格別です
煖炉は無理という方も、屋外のピザ釜ならDIY感覚で作れます。用意する物は耐火煉瓦と鉄板。耐火煉瓦を積上げて土台を作り、その上に鉄板を置き、さらに耐火煉瓦の炉を作れば完成です。

昨年の春、鹿討さんの事務所で、ピザパーティを開催させていただいたことがあります。ピザの具をテーブル一杯に並べて、手作りのピザ生地に思い思いの具をのせて焼きました。ピザの美味しさもさることながら、薪で焼くということがとても楽しい思い出になりました。

火を囲むことで、和やかな会話が生まれます。そして知らない者同士がすぐにうち解けたり、心の壁を溶かしていくような作用があります。どんな形でも構いません。生活に火を楽しめる空間を設けてはいかがでしょうか。

[取材協力]
建築家・鹿討直治 ドゥ・アーキテクツ
ドゥ・アーキテクツは、住宅設計の他、ガーデニングも手掛けています。また事務所のガーデンやリビングを、パーティや撮影用に一般に貸し出しています。ご興味のある方は連絡してみてください。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます