ドイツ・オペラの大巨人ワーグナーの魅力
リヒャルト・ワーグナー(1813~1883)は、結婚式でおなじみの「結婚行進曲」(ローエングリン)や「ワルキューレの騎行」(ワルキューレ)などの作品が広く知られるドイツ・オペラの大巨匠作曲家。孤高の世界観とドイツ・ロマン派オペラの頂点といえる濃厚な音楽は“ワグネリアン”と呼ばれる熱狂的な崇拝者を生み出してきました。王が熱狂し1国が潰れかかったというエピソードも生んだワーグナーの魅力とは? 今年2013年が生誕200周年のワーグナーの特徴、代表作、オススメCD・DVDをご紹介します。
ワーグナーのまとめ
1:ライトモティーフ(示導動機)を多用した意味と伏線が張り巡らされた音楽「聖なる剣」を表すメロディー、「騎士」を表すメロディーなど、ライトモティーフ(示導動機)と呼ばれる、モティーフごとに音楽を作ることを徹底し、歌詞とは別に音楽だけでストーリーが分かる仕組みに。さらには歌詞には出さなくても音楽だけで内面や迫りくるものも表現することも可能になり、重厚な作品に。
2:物語は自作。自身の専用歌劇場まで作った総合芸術家
普通は脚本家と作曲家の2人3脚で作品を作るところ、ワーグナーは神話などを研究し台本もほぼ自作。ドイツ・ロマン派文学としても評価される。音楽構成自体も慣習にとらわれず総合芸術を目指し歌劇ではなく「楽劇」という言葉を用いるように。さらには専用歌劇場のバイロイト祝祭劇場を建設。現在も夏にワーグナー作品が上演され、世界中からワグネリアンが押し寄せる。
3:上演に4日間かかる壮大なオペラ『ニーベルングの指環』を創出
上演に、序夜『ラインの黄金』、第1夜『ワルキューレ』、第2夜『ジークフリート』、第3夜『神々の黄昏』の4夜かかる前代未聞の大作楽劇。ワーグナー芸術の集大成で、世界を支配できる指環をめぐり、神々や英雄たちが翻弄される。権力、愛、運命など、様々なテーマが計算され尽くした音楽と共に押し寄せる。
4:『トリスタンとイゾルデ』で無調に近づき、調性音楽崩壊のきっかけに
禁断の愛を描いた作品で、調性がはっきり分からず解決されないトリスタン和音を使い、終われない愛の連綿とした官能的世界を濃厚に表現。さらに半音階的進行と転調を連続させ、調性は崩壊寸前まで進み、後の無調の時代の扉を開いた。
ワーグナーのおすすめオペラ
別ページで紹介・歌劇『ローエングリン』
結婚行進曲が有名。聖杯伝説と結びつく神聖にして濃厚なロマンティック物語。
・楽劇『トリスタンとイゾルデ』
音楽で官能性を極めた禁断の愛の物語。調性崩壊まで進んだ画期的作品。
・楽劇『ニーベルングの指環』
上演に4夜かかる未曾有の大傑作。スペクタクルで演出家の腕の見せ所。
その他の作品
・『さまよえるオランダ人』
・『タンホイザー』
・『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 ※東京・春・音楽祭(演奏会形式) 2013年4月4日(木)~4月7日(日)
・『パルジファル』 ※METライブビューイング2013年4月6日(土)~4月12日(金)