ライフ&キャリア相談
ひとり暮らしは、ひとり立ち?
母親のことを語るときの表情は、お母様が手放しの笑顔で話されていたのと比べると、感謝の気持ちとともに、何となく後ろめたさを感じている、そのような印象を受けます。
母親や父親との楽しいエピソードをいろいろと伺ったのち、「どうしたいですか」「どう生きていきたいですか」と尋ねてみました。
独り立ちしたい
しばらくの沈黙のあと、彼女は答えてくれました。「独り立ちしたい」。「でも、そう確信しているわけではありません。本当のことを言うと、自分がどうしたいかなんて、真剣に考えたことはありませんでした。でも今、そう尋ねられて考えると、このままではダメかなぁっていう気持ちがあるみたい」と、A子さんは素直で自分をしっかりと表現できる素敵な女性です。「母親が何でもやってくれるので楽チン。一人暮らしをして、何でも自分でやらなきゃならないと、自分の時間が無くなる。仕事と家事だけになるのは辛い。結婚して、二人分の家事負担がのしかかるなら、結婚もどうかななぁと思う」とA子さん。
見方を変えれば、家事の時間も自分の時間。結婚したからと言って、二人分の家事負担が妻にふりかかるとは限らない。A子さんがどう考えるかは本人の自由ですが、彼女の思い込みが行動範囲や選択肢を狭めているのであれば、もったいなぁと思います。あなたは、考え方や捉え方に枠をはめていたりしませんか。「なんだ、自分の思い込みだったのね」と気づくと楽になることが多々あります。
A子さんの決意
自分に問いかけると、独り立ちしたいと思っているような気がしたA子さんです。少し現実的に考えていただくと、「私が出ていくと、母が寂しがる。家事や雑務など面倒が増える、家賃や光熱費、雑費など支出がふえて、使えるお金が減る」と、あまりいいことはなさそうです。それでも独り立ちしたいのか、自分の意思確認がポイントです。「実は、」と話してくださったのは、先日、会社の同僚がマンションを購入して一人暮らしを始めたという話。遊びにいくと、新しくて、友達のセンスにあったコーディネートになっていて、とても素敵だったそうです。「私にもできる?」「私にも買える?」と夢が膨らんだとA子さんは目を輝かせて話してくださいました。
自分のライフスタイルをより自分らしく、センスアップしていきたいならば、お友達のお家を尋ねるなど情報収集は欠かせません。そのうえで自分はどうしたいか、です。A子さんのお話しを聞いていると、結局のところ、一人暮らしには憧れるけれど、デメリットの方がより多く、さほどの魅力は感じていないようです。
「独り立ち」は、「一人暮らし」?
A子さんのいう「独り立ち」は、「独り暮らしをすること」ではないのかもしれませんね。そう語りかけると、A子さんはハッとした表情になり「そうかもしれません」と。「今すぐどうしたいということは思いつきませんが、あと1年半。35歳になるまでに自分がどうしたいか、今の自分と将来の自分とに素直に向き合ってみます」と力強くこたえてくださいました。
何も考えずに今を楽しく生きるのもハッピー、今の自分と将来の自分の人生を考えて今を生きるのもハッピーです。ただ、確実に時間という資産は目減りしていっています。「あぁ、あの時こうしていれば」と後で思うのはできれば避けたいなぁと考えます。ぜひ、あなたも今の自分だけでなく、将来の自分と向き合って、ライフスタイル、住空間、キャリアプラン、マネープランなどを意識してください。一度きりの自分の人生を自分らしく生きていきましょう。