マレーシア/マレーシア基本情報

マレーシアのハラル事情(2ページ目)

多民族マレーシアの食事はバラエティに富んでいます。中国やインドの料理から、タイ、インドネシアの影響を受けているマレー料理まで。そして、マレーシアの食事のキーワードとして、もうひとつ注目したいのが、ハラル。マレーシアを旅したら、意識せずともハラルの食事を味わうことになります。最近は大きなビジネスマーケットの鍵ともいわれるハラルという概念。多文化マレーシアのハラル事情に迫ります。

古川 音

執筆者:古川 音

マレーシアガイド

マレーシアのハラルレストラン事情

マレーシアのマクドナルド

マレーシアのマクドナルド。右奥の壁にJAKIM発行のハラルマークが見える

多民族、多宗教のマレーシアには、ハラルレストランとノンハラル(ハラルではない)レストランの両方があります。ただ利用する側は、イスラム教徒でなければどこで食べても自由。ハラルでもハラルでなくても、おいしい料理を楽しめます。

たとえばマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどのファストフード店。ここはハラルレストランです。そもそも豚メニューやお酒はおいてないので、メニュー内容は日本のものと変わりなく、味も同じ。

次に屋台。これは細かく分かれています。マレー系の料理を提供する屋台は完全ハラル。中国系の屋台は、豚肉好きの中国系マレーシア人を顧客ターゲットにしていてノンハラル。インド系の屋台はカレー好きのマレー系に来てほしいので、ハラルのことが多いです。ハラルをアピールするために、お店にハラルマークが貼られていることもありますが、たいていはスカーフを被ったマレー系女性を目印に。ハラル屋台にビールはありませんので、屋台でビールを飲みたいなら、ノンハラルの中国系屋台を選びましょう。

ショッピングセンターの中にあるフードコートやレストランは、ほとんどがハラルです。おもしろいのは、豚を使った中国料理がハラル化されていてメニューになっていること。たとえば豚チャーシューは鶏チャーシュー、豚ソーセージはチキンソーセージ。これらの食事こそ、イスラム国家でありながら多民族が暮らすマレーシアを象徴する食事。味もなかなかおいしいのでトライしてみましょう。

ハラルイタリアン

バンサーにあるイタリアン「BARBERA」。ハラルレストランでお酒無し。持ちこみ可

高級レストランは経営方針によって様々です。たとえば中国料理店。豚を使った小籠包が名物のノンハラルもあれば、豚のかわりに鶏肉を使っておいしい飲茶を提供する店もあります。中国料理好きのイスラム教徒は多いので、豚を一切使っていない中国レストランもかなり繁盛しています。また、和食、イタリアン、カフェでも、豚を使わないレストランが数多くあります。ターキーハム、ビーフベーコン、チキンソーセージなど、豚を使わなくてもおいしい料理は提供できるのです。

ただ、高級レストランはお酒を置いていることが多いので、正確にはハラルレストランとは言いません。豚を使っていないレストランという意味で、マレーシアでは「ポークフリー」「ノーポーク」という表現をします。

 

マレーシアのスーパーは、ハラルとノンハラルのレジが別

カルフールレジ

カルフールの中央レジ。このメインのレジではノンハラル食品の会計はできない

スーパーもいろんな形態があります。マレー系の多く暮らす地域にあるローカルスーパーは、豚肉の扱いはありません。一方、中国系が訪れるチャイナタウンのスーパーや市場には、当たり前のように豚肉を売っています。

クアラルンプールの大型ショッピングセンター内にある高級スーパー、たとえばISETANやメルカートには、豚肉や豚ソーセージが売られています。ただ、鶏、牛などの通常の肉コーナーとは別の場所にあるのでご注意。たいてい店舗奥のコーナーに「Non Halal」という看板が掲げてあり、そこに豚のハムや豚ソーセージが置かれています。ノンハラルコーナーで豚肉を買ったら、その場で会計をすること。イスラム教徒は豚を触ることもできませんので、中央のレジで他の商品と一緒に会計することはできません。スーパーのなかに別会計の独立店舗が入っているようなイメージです。

ノンハラル事情になりますが、マレーシアの豚肉は結構おいしいんですよ。 とくにハム。かたまり肉をその場でスライスしてくれる贅沢さで(厚さ指定も可)、100gで200円ぐらい。生ハムも絶品で100gで650円ぐらい。生ハムとワインを買って、ホテルの部屋で飲むのもいいですね。また、ブキビンタンエリアにあるタパス料理では、イベリコ豚の絶品生ハムが東京の約1/2の価格で食べることができます。
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