一夜漬けが身につかないワケ
テストのためにだけ集中して覚えても、そのあとのフォローがなければ効果は薄い
ほとんどの方は「YES」と回答されるでしょう。
では、「3日前の夕食のメニューを覚えていますか?」
ほとんどの方が覚えていないのではないでしょうか。
残念ながら人間の脳は覚えた直後から忘れてしまう仕組みになっています。この脳の仕組みを知るのに参考になるのが記憶力に関する忘却曲線というものです。ドイツの心理学者であるエビングハウスが人間の記憶力についての研究成果を発表したいわゆる「エビングハウスの忘却曲線」によると、意味のない言葉の暗記など、普通の単純暗記であれば、1時間後には56%、24時間で70%、48時間後には80%も忘れてしまいます。
定期テスト前に一夜漬けで覚えたことは、定期テストが終わってしまうと直ぐに忘れてしまうのはこのためだったのです。覚えたことを忘れないようにするには、忘れる前に復習をして繰り返し覚えるしかありません。復習をしないと授業で習ったことの80%を忘れてしまうわけですから、授業で習ったことは当日か翌日に復習させるようにしてください。
復習をする真の目的とは
復習は「覚えたことを忘れない」という目的の他に、「授業で理解できなかったことを理解する」目的があります。「授業で習った問題を解いたら、復習は終わり」と思うお子さんが大半ですが、これでは「授業で理解できなかったことを理解する」までは到達していません。問題を解いて、答え合わせをして、間違えた問題を解けるようになるまでやり直すことで理解度が高まります。これが復習をする真の目的です。答え合わせや間違い直しはお子さん自身ができるに越したことはありませんが、お子さんが一人でできるようになるまでは親御さまが手伝ってあげてください。○と△、△と×で迷った場合は、△とし、模範解答と異なる部分に線を引いておき、△と×の問題をやり直しさせてください。
答え合わせをするときに×をつけることや、間違い直しをするのを嫌がるお子さんが多いですが、もともとよくできた場合よりも、自分で×をつけて間違い直しをしっかりできたときほど褒めて、勉強では答え合わせと間違い直しが一番大切であるということを伝えるようにしてください。
とは言っても、子どもにとって復習は退屈なもの。復習時間を短くするポイントは、学校や塾での授業の受け方にあります。字の丁寧さや色ペンの使い方、ページのレイアウトなどは人それぞれに個性がありますが、成績の良いお子さんの授業用ノートには、思考や作業の跡が残っているものです。例えば「正解の計算式を板書するときに、余白部分に自分で計算してみる」「先生の説明を聞いて疑問に感じたことを、書きとめておく」などを授業中にしておけば、復習時間は短くてすみますので、お子さんにアドバイスしてあげてください。
学力の定着には「復習重視」が鍵
中学受験を指導している多くの塾では、浜学園をはじめ「復習主義」を掲げています。予習をしない状態で授業を受けると、「先生の話を真剣に聞こう」と真剣さも保てますし、「どんなことを教えてくれるんだろう」と好奇心を持って授業を受けられます。「予習してから授業を受けることで、授業での理解度が高まる」という意見もありますが、この場合、まず予習をしてから授業を受け、授業で習ったことを復習し、翌週の予習をすることになります。よほど計画性のある子どもでない限り、「予習と復習の両立」は難しいでしょう。
予習と復習の両立を目指すよりも次回の授業まで1週間くらいの期間がある塾の宿題は最低でも3回するなど、復習を重視したほうが学力の定着につながります。