英検/英検の勉強法

TOEICと英検はどちらが有利?英語に関する試験の疑問を解消!

中高生の間で絶大な支持を受けている「実用英語技能検定」、通称「英検」ですが、大学生や社会人の間では、TOEICに押されて受験者数が減ってきているように思います。英検2級、準1級、1級の試験を受験する意義とTOEICとの関係について考察していきます。

澤田 健治

執筆者:澤田 健治

TOEIC・英検ガイド

試験を受けるなら、英検よりもTOEICが大事?

TOEICと英検の関係とは

TOEICと英検の関係とは

特に大学生や社会人の方々が、英検とTOEICについて次のようなことを言うのをよく耳にします。

「就職で有利なのは英検ではなくTOEICだ」
「たいていの企業では、TOEICスコアが昇進試験の受験資格として採用されている」
「時代はTOEICだから、英検なんて受けても意味がない」

「ちょっと待ってください!」と、私は言いたいです。

確かに、TOEICで高いスコアを持っている方が、就職や昇進では有利なことが多いかもしれません。しかし、英語力を測定する物差しという本来の試験の目的からすると、英検はTOEICよりも劣っているということは決してありません。(実際、「英検1級」の社会的な評価はTOEIC900点よりも高いです)

2級~1級の2次試験では、スピーキング力を見る面接試験がありますし、準1級と1級では、ライティング力も求められます。TOEICではリスニングとリーディングの2つの技能しか要求されませんが、スピーキング力とライティング力も測定されるという意味では、英検の方がよりバランスの取れた試験であると言えます。
(スピーキングとライティングに特化したTOEIC SWテストというものがありますが、受験者数が極端に少ないのが現状です)
   

英検とTOEICの関係

本当は役立つ英検2級、準1級、1級

本当は役立つ英検2級、準1級、1級

とかくTOEICと比べて「役に立たない」というレッテルを張られがちな英検ですが、英語力を計る物差しや目標として利用するという意味では、とても役に立ちます。
実際、TOEICの英語には偏りがあるため、700~800点を持っていても、英検準1級を取れない人も多いですし、900点を持っている人で英検1級にも合格できるという人は10人に1人もいないでしょう。
また、TOEICを受けるにはまだ十分な英語力がないという初級者にとって、英検2級は受験しやすい試験です。リスニングのスピードもTOEICのパート3や4ほどには速くないですし、読解問題の英文の量もTOEICのパート7と比べたらずっと少ないので、「時間切れ」になることもほとんどないはずです。
 

英検はTOEICのスコアアップにも役立つ

上記の理由から、TOEICで300~400点の人は、500点以上のスコアを取るために、まず英検2級を目指されるとよいでしょう。2級レベルの基礎的な英語力を身に付けてから、本格的なTOEIC対策をした方がスコアも伸び易くなります

また、TOEIC600~700点台で伸び悩んでいる人は、英検準1級の勉強をすると、スランプから抜け出せることがあります。というのも、英検準1級で問われる語彙の方が、TOEICよりも抽象度が高く、長文も難解であるため、TOEICのビジネス文書が簡単に感じるようになるからです。たとえ準1級に合格できなくても、その対策をすることによって、TOEICで700~800点を取るための英語力も同時に身に付きます。
 

TOEIC800点のレベルは英検準1級以下?

TOEIC800点というのは、世間では英語ができると言われているレベルですが、実は不完全な実力の持ち主が最も多いスコアでもあります。その明確な基準が、英検準1級も持っているのかということです。

TOEIC800点なのに英検準1級には合格できないという人は、概して語彙力が低いことが多いです。

実際、TOEICには、犯罪や裁判関連の単語(fraud: 詐欺、corruption: 汚職、defendant: 被告、testimony: 証言、prosecution: 起訴)や、学問や自然現象に関する単語(anatomy: 解剖学、fossil: 化石、erosion: 浸食、habitat: 生息地、eruption: 噴火)、豊かな人間の感情や性格を表す単語(depressed: 落ち込んだ、hilarious: とても面白い、obnoxious: 不快な、sly:ずる賢い、pathetic: 哀れな)などは、ほとんど出てきません。
しかし、これらの単語もある程度マスターしないと、本当の意味で現代英語がわかるようにはなりません。したがって、英字新聞や小説を読むには、TOEICレベルの単語だけでは不十分だということがわかります。

ですので、TOEICで800点が取れた方は、次の目標として英検準1級に挑戦してみるとよいでしょう。準1級レベルの語彙力を付けると、ある程度は現代英語を読めるようになりますし、TOEICで900点を取るための良い準備段階にもなります。
 

英検1級を目指すべきか否か?

英検準1級に合格し、TOEIC900点を取ったら、「英検1級」の存在が気になる人もいるでしょう。
まず、目指すべきかどうかの前に、「どのくらい頑張ったら取れるのか」という現実的なお話をします。英検を基準にすると、2級から準1級に到達するには、頑張って2~3年かかるのが一般的です。

では、準1級から1級はどうでしょうか?

「準1級から準を取っただけだから、あともう1年くらいかな?」
「2~3年はかかるかな?」
などと考えていますか?

実際は、しかるべき努力を積んでも5年以上かかる場合が多く、10年越しで取る人もいれば、一生取れないという人も少なくありません。中には、準1級取得後に尋常ではない努力を積んで、1級を2~3年で取る人もいますが(筆者は2年)、ごく一部の人だけです。

「頑張っても無理だから、挑戦しない方がいい」と、言っているのではありません。

むしろ、「なかなか取れないのであれば、頑張って目指してみる価値がある」と、向上心や挑戦心の高い読者の方々に思っていただきたいのです。

あなたはどうでしょうか? 

いつか「英検1級」という最高峰にまで登ってみたいと思いますか?


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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