「勉強」という言葉のもつイメージ
「勉強が好きですか?」きっとほとんどの小学生が「嫌い」と答えるでしょう。ランドセルを買ったばかりの頃は、「小学生になったら、お勉強する」と楽しみにしていた子どもたちが、なぜか小学生になると勉強が楽しくなくなるようです。同じ質問を大人に投げかけても、やはり答えは「NO」でしょう。
では、「学ぶことは好きですか?」と大人に聞いてみると、「好きです」との答えが多くなるはずです。
「学ぶ」と「勉強する」は、どちらも「新しいことを知ること」で本質的には近い存在です。しかし、「学ぶ」が「自分の好きなもの」をというイメージがあるのに対し、「勉強」には自分の好奇心と関係なく義務として課せられるものというイメージがあります。
勉強の楽しさを伝えることが大切
幼児教育と聞くと、計算や漢字などの「先取り学習」や英会話など「勉強」を重視しがちですが、「学ぶ」ことの楽しさを知っている私たち大人が、子どもたちに「勉強の楽しさ」を伝えてあげることが大切です。育児書どおりでないことや、他のお子さんと比べて学習面で遅れていることがあっても不安に思う必要はありません。逆に、他のお子さんより学習面で進んでいたとしても優越感を持ってはいけません。
幼少期の教育は、人生の基本となる土台を作る時期であり、結果が目に見えない時期でもあります。子ども一人ひとりには成長のペースがあるので、親が管理しすぎたり、焦りすぎたりしないことが大切です。
「頭足人」という絵をご存知でしょうか。個人差がありますが、3、4歳くらいのお子さんが書く「顔に、手と足がついた絵」を「頭足人」といいます。顔には表情(喜怒哀楽という動き)があり、手と足にも動きがあります。一方、胴体は動きが少ないので省略されてしまっているのです。
幼児期のお子さんは「動くもの」に興味をもちます。テキストを使った文字や計算の学習も大切ですが、テキストを中心にした学習は小学校からでも大丈夫です。幼児期の間は、お子さんが興味をもてるように、親子での会話で話し言葉の習得や、パズル・積木などで知的好奇心を育んでください。
また、リビングに、辞書、図鑑、地図などを置いておき、お子さんが関心をもったことを親子でいつでも手にして調べられる環境にしておきましょう。
インターネットによる情報検索は便利である反面、自分で能動的に情報を習得する意識は育ちにくいです。幼児期のお子さんは、親御さまの行動をマネします。親御さまが本や辞書で調べものをしている姿を見せることで、お子さんに「自分で調べたり考えてわかる喜び」を感じてもらえるようになります。
「勉強に興味がある時期が、どのお子さんにも必ず訪れると思いますか?」
きっとほとんどの親御さまは「そんなことはない」と思われるかもしれません。しかし、浜学園で多くの生徒を指導している講師によると「どのお子さんにも必ず勉強を頑張ってみようと思う時期が来る」といいます。しかし、それがいつ訪れるのかは残念ながらわかりません。
お子さんの言動をしっかりと見ていれば、お子さんが勉強に興味を持っているのかはなんとなくわかってくるものです。
勉強に興味をもったときが、子どもを勉強好きにするチャンスです。
バレーボール全日本女子の元監督である柳本氏が、選手が練習中には携帯電話を持たないというのは有名な話です。柳本氏は講演で、「『選手が何かに興味をもった瞬間』『選手の才能が伸びた瞬間』を見逃さないために練習中は携帯電話を持たない」と説明されていました。
お子さんの「やりたい」を見逃さずに、「今がチャンス」と思ったときに、躊躇せずにやらせてみる。そんな働きかけが、子どもを勉強好きにするスタートになるかもしれません。