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ラ・メゾン・デュ・ショコラの新シェフインタビュー(2ページ目)

1977年、パリ8区のフォブール・サントノレにオープンして以来、今年で36年目を迎えるラ・メゾン・デュ・ショコラ。昨年4月から創始者ロベール・ランクスを引き継ぐ後継者としてニコラ・クロワゾー氏がシェフ・パティシエ・ショコラティエを務めることになりました。歴史ある人気ショコラメゾンの新シェフは一体どんな人物なのでしょう?インタビューを交えてお届けします。

市川 歩美

執筆者:市川 歩美

チョコレートガイド

ラ・メゾン・デュ・ショコラのシェフ・パティシエ・ショコラティエ
ニコラ・クロワゾー

2012年4月、創業35周年にあたる年に、ニコラ・クロワゾーがラ・メゾン・デュ・ショコラのシェフ・パティシエ・ショコラティエに就任しました。

ニコラ・クロワゾーは、日本の「人間国宝」に相当する、フランス国家最優秀職人章「M.O.F」ショコラティエ。ラ・メゾン・デュ・ショコラに16年間勤務、創始者ロベール・ランクスの右腕とし活躍してきた存在でもあり、まさにロベール・ランクスの継承者にふさわしい人物といえるでしょう。
ニコラ・クロワゾー

ニコラ・クロワゾー

●略歴
1974年 ブルターニュ地方で生まれる
1996年のクリスマスイブ パティシエ/ショコラティエとしてラ・メゾン・デュ・ショコラに入社
2000年 高い芸術性を見出されラ・メゾン・デュ・ショコラの特別芸術作品制作担当に任命される
2007年 M.O.F(フランス国家最優秀職人章)ショコラティエを取得
2012年4月 ラ・メゾン・デュ・ショコラのシェフ・パティシエ・ショコラティエに就任

ニコラ・クロワゾー インタビュー

Q.子供のころからチョコレートがお好きだったのですか?

私の母の兄、つまり伯父がレストランを経営していました。週末は両親が手伝いに行っていましたので、私も一緒について行って調理場で過ごしていたのです。アントレ、メイン、デザートまで全てが作られていく様子を見て、味わっていましたが、中でも最初に興味を持ったのがチョコレートでした。
私は特にチョコレートのオブジェが好きで、子供の頃はイースターのウサギ等の形のチョコレートなどを買ってもらうと、その形を壊したくなくて、タンスの中のセーターやズボンの中にそっと包んでタンスの中に隠していたことがあります。他の人に壊されるのも嫌だったし自分が壊すのも嫌だったからです!後でそれが見つかった時は、母にとても怒られましたけれども(笑)
そしてやはり今も、私はクリスマスやイースター、ハロウィンなどのチョコレートで作った作品を自分で壊すことができません。ただ、私の息子は私に似ておらず、すぐに壊してすぐに食べてしまいますが(笑)


Q.2000年、ロベール・ランクス氏から特別芸術作品の制作担当に任命されていますが、具体的にはどんなことをされていたのでしょうか?

以前のラ・メゾン・デュ・ショコラのアトリエはチョコレートのオブジェを作ったり、デコレーションする場所が十分になかった為、チョコレートのオブジェやデコレーションを作るのはイースターの時だけでした。その後2001年にアトリエをパリ郊外のナンテールに移し、以前よりも広くなったので、オブジェ製造のためのスペースが出来たことで、チョコレートのアート、芸術的な特別な注文に広く対応できるようになりました。私はそこでオートクチュールの注文に対応できるよう、内部のスタッフを教育していました。

作った作品としてはサロン・デュ・ショコラのファッションショーに使うアイテムやオブジェ、また2008年にはフランスの高級宝飾品ブランドBoucheron(ブシュロン)が創業150周年を迎えるにあたり、ブシュロンの象徴的なモチーフであるスネークの形のチョコレートのネックレスを作りました。2008年にちなんで20.08カラットのダイヤをヘビの舌の先につけたんですよ!実際に首にしたら溶けてしまうのであくまでもハイジュエリーを使ったアートとしてですね。こちらは香港の方が購入されたそうです。
ラメゾンデュショコラ エッフェル塔

ニコラ・クロワゾーによる、最新のチョコレート製のオブジェ
エッフェル塔がモチーフとなり、パリを象徴する建物が周囲に並ぶ


Q.歴史あるラ・メゾン・デュ・ショコラのどの部分を継承し、どの部分を変化させていかれるのでしょうか?

私の役割は、ロベール・ランクスの意思を受け継ぐこと。そして味にこだわり、メゾンの名を守ることです。創業者であるロベール・ランクスが作った代表的なチョコレートはこれからも大切に引き継いでいきます。ただ、創業から36年が経過しているので、当時とは味の嗜好が変わってきています。そこは手直ししながらラ・メゾン・デュ・ショコラの味わいを維持していきます。味の嗜好の変化としては、今はあまり甘くない、カカオの味がよりはっきりと出ているものが好まれますね。

また定番のボンボン・ドゥ・ショコラに使われるフルーツなどを見直すこともあります。例えばカシスのボンボン・ドゥ・ショコラの香りをより高くするために、ガナッシュの作り方を変更しました。ブルゴーニュで出会った「ポワブル カシス(カシスペッパー)」を生クリームと煎じてガナッシュにすることで、フルーツに花のような香りが加わり、カシスの香りが3週間たっても残るほど強くすることができました。「ポワブル カシス」はカシスの葉を摘んで乾かしてつぶして粉状にしたもので、通常は料理に使われることが多いものです。


Q.クロワゾーシェフの新作ショコラがとても楽しみですが、私たちはどんなタイミングで出会えるでしょう?

新作は、夏、クリスマス、バレンタインをメインとする季節限定のコレクションで発表していきます。「デュオ・ドゥ・ガナッシュ」というスタイルで、2種類の味わい、または2種類の食感を使ったショコラもシーズンごとに発表する予定です。そしてシーズンの限定コレクションの中から評判のよいものは定番にします。例えば2013年に定番になったものとしては、「ノワール ドゥ カシス」というブルゴーニュ産のブラックカシスを使ったボンボン・ドゥ・ショコラがあります。2013年からパリで定番になっていますが、現在は日本未発売です。(今後発売予定有)
イル・ドゥ・ボーテ

2013年夏のコレクション「イル・ドゥ・ボーテ」(5月発売予定) 
コルシカ島をテーマにしたコレクション 12粒入3360円(税込) 31粒入6825円(税込)※予定価格


夏は旅行をイメージ、リラックスできるチョコレートでみなさんをバカンスへと誘います。第1回からプロヴァンス、ペイ・バスク、ブルターニュ、コルシカ、と続いてきましたが、今年の夏はイル・ドゥ・ボーテ(美の島)と呼ばれるコルシカ島の素材を使ったショコラで、皆さんをフランスの南の島へとお連れします。(コルシカ島特産の蜂蜜、いちじく、クレモンティーヌ、ネピタと呼ばれるミント、レモンなどを使用したボンボン・ドゥ・ショコラのセットです。)


Q.チョコレート作りにおいて大切にしている事はなんですか?

素材はもちろんのこと、チョコレートの大きさや形にこだわっています。それぞれのショコラを、最も美味しく味わえる大きさと形にしています。比較的小さめなものが多いのですが、大きいものより小さいものを一口で味わう方が私は美味しいと思います。

また、味にこだわる農家と数多く関わり、より自然の本物の味を出すようにしています。カカオ豆については専門家に協力してもらい、私が希望する味わいの豆を探し出してもらった上で発酵、乾燥、焙煎も指示して、求める味わいをクーベルチュリエ(製菓用チョコレートを作る職人)に作り出してもらいます。つまり全ての段階で高い味を求めるのです。それぞれの素材が絵具だとしたら、私はその絵具を使って絵を描くようなイメージです。年間200種類ものトライアルレシピを作り、その味を綿密に微調整し、追求を続けています。


Q.初来日とのことですが、日本の印象はいかがですか?

日本の方々はチョコレートの知識をたくさん持っていて、要求が高いですね。感性が豊かで職人技の重みを理解して下さっていることを感じます。日本では銀座で鉄板焼きをいただきました。フランスでも有名な神戸牛もいただきましたが霜降りはどこかバターのような味わい、記憶に残っています。印象に残った日本食材ですか?これはまだ何かは言えません。もしかしたら2014年のバレンタイン位に登場するかもしれませんね? (笑)

エッフェル塔

来日を記念して作成したロマンティックなエッフェル塔モチーフのオブジェとともに

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