標準語 普通話
中国政府は標準語を定めるにあたって、その名前を「普通話」としました。これは、「普(あまね)く通じる言葉」という意味です。「普通」という言葉をよく使いますが、こんな意味だったのだなあと改めて考えさせられます。さて、この標準語を定めることを決めたはいいのですが、どう基準を作るか、という問題が残っています。
この問題を解決するために中国政府が定めた基準は以下の通りです。
発音は北京語音から
語彙は北方方言を基礎とする
文法は現代白話文から
ここで初めて「北京語」という言葉が登場しました。
つまり、「北京語」というのは、「北方方言」の中に含まれる言葉なのです。ややこしいですね。ですから、「私は北京語を学んでいます!」とおっしゃる方をかなりお見かけしますが、実際は普通話であることがほとんどですし、純粋な北京語はとても聞き取りづらいです。日本の江戸っ子の「べらんめえ口調」を外国人が学ぶようなものですね。
また、語彙は「北方方言」を基礎とするとされていますが、実はここに「粤」方言の中に含まれる「広東語」の語彙がかなり含まれているのです。
例えば、タクシーのことを「打的 da3di1」と習った方も多いと思いますが、これは実は広東語の語彙です。他にも「埋単 mai3dan1(お勘定)!」などがあります。
両者について見ていきます。
北京語と広東語
ずいぶん厄介な違いがある両者ですが、実はいいこと?もあります。私たちが一般的に「中国語」というとき、それはすなわち「普通話」です。学習初期に、「食べる」は「喫(吃)」、「飲む」は「喝」、挙げ句の果てに「香港」は「ホンコン」ではなく「シァンガン Xiang1gang3」と、さまざまな混乱を引き起こしたはずです。が、広東語では「食べる」は「食」、「飲む」は「飲」、「香港」はなんとなく「ホンコン」のような音と、日本人で良かったと思う場面が多数あります。
語彙はなんとなく日本風でいけそう、文法も普通話とそこまで違いはない、じゃあ両方やろう!と思うのも束の間、次に立ちはだかるのが声調の問題です。
普通話は4つですね。ですが広東語は6つ、または9つあるのです。4つだけでも声調が取れなくて、苦しい思いをされた方も多いのではないでしょうか。広東語は基本的に話し言葉ですから、発音表記の方法が教材、地域によってまちまちです。混乱しないためにも、まずは完全な表記法の確立されている普通話を学ばれた方がいいと思います。声調も約半分で済みますし(笑)
広東語のオススメ教材としては以下のものがあります。
身につく広東語講座 東方書店
今すぐ話せる広東語 入門編 東進ブックス
個人的には、普通話だけが中国語と言われるのはとても違和感があります。もう少し幅広く、いろいろな方言に目を向けられたらそれはとても素晴らしいことなのではないかと思います。是非、普通話の基礎の上に、もう一つの方言学習をプラスしましょう。きっと視野がぐっと広がるはずです!