セバスチャン・ゴダール
セバスチャン・ゴダール氏は、あのピエール・エルメ氏が老舗「フォション」のシェフパティシエを務めていた際にスーシェフに抜擢され、その後、1997年、若干26才で後任として「フォション」のシェフパティシエに就任した気鋭の若手です。2003年にはパリの百貨店「ボン・マルシェ」内にファッショナブルな最先端パティスリー「デリカバー」のシェフパティシエとなり、注目を集めてきました。しかし、2009年に突如として業界から姿を消し、2011年「再生」をテーマに自身の名を冠したパティスリー「セバスチャン・ゴダール」をパリ9区のマルティール通りにオープン。かつての超モダン派から古典派へのドラマティックな変貌が話題をさらっています。なによりシンプルであることを追究した結果、古典菓子への想いを強くしたというゴダール氏。まさに今回の「サロン・デュ・ショコラ2013」のテーマ、“原点回帰と再生”がコンセプトという大注目のブランドなのです。
最近はチョコレートの世界でも、斬新な色彩や型を使った前衛的な作品が多数登場していますが、今回販売されるゴダール氏の「ショコラ・アソート」は、驚くほどにクラシック。ビターチョコレートのバニラ風味ガナッシュ入り「バニラ」や、ヘーゼルナッツのプラリネにミルクチョコレートを合わせた「プラリネ」、プロヴァンス産のマジパンをミルクチョコレートで包みアーモンドを1粒のせた「パート・ダマンド」など、伝統的でシンプルなフレーバーが中心。他にも紅茶やキャラメル、カフェ、トンカなど、フランスで誰からも愛されるノスタルジックな味を選び、シンプルなレシピで最高の素材を使い、ピュアな味わいを表現しています。
見た目も、ひだのついた紙ケースに入れて販売する昔ながらのスタイルにこだわり、そのケースに詰めて、ブランドロゴだけを刻印したシンプルな真っ白の円形容器に並べているのも新鮮です。
10個のブランドロゴが並んだ板チョコレートのオリジナルタブレットは、エクアドル産カカオ66%のビター系や、マダガスカル産カカオ33%のミルクチョコレートなど各種。珍しいのは、塩味のキャラメルを加えたホワイトチョコレートの「タブレット・イヴォワール・キャラメリゼ・フルールドセル」。ローストしたナッツを片面に貼り付けたタイプもあります。
このタブレットの型は、ゴダール氏が古いお菓子の研究をしている最中に、ある古書の中で見つけて、その形の可愛らしさに惚れ込み、特別に起こして作ってもらったというもの。昔、こんな形のチョコレートをポキポキと折って、ミルクパンなどに挟んで食べていたのを思い出したのだそうです。
古き時代の製法や精神を重んじ、そこに今どきのモダンな感覚を見事に融合させた「セバスチャン・ゴダール」のショコラ。洗練された味わいの中に懐かしさを感じさせるクリエーションに注目です!
続いて、実は、パリでも昨年12月にショップがオープンしたばかりで話題の的となっている日本初上陸ブランドを、次のページでご紹介します。美しすぎる、華やかすぎるショコラに注目です!