哲学的な問題を投げかける形のエンディングに考えさせられる
♪王様は~ はだーかだー なーんにもー きてないーまさにそのまんまの歌詞ですが、言わずとしれたアンデルセンの『はだかの王様』を、劇団四季の子ども向けミュージカルとして、寺山修司がアレンジした名作です。この作詞も寺山修司が手がけ、作曲はいずみたくが担当。まさにゴージャスな作りとなっています。
私たちがよく知っている『はだかの王様』は、見栄っ張りの王様が、だまされて着ていない服を着ていると思い込み、それを正直な少年に「王様ははだかだ!」と指摘される、といった内容です。「本当の正直さを考えることの大切さ」を学ぶための寓話でした(ような気がします)。
ただ単純に、王様がはだかで練り歩くシーンは、本当におかしくて圧巻です。さらにもうひとり、王様の娘に結婚を迫るアロハ運動大臣という若者がいるのですが(これも寺山修司のオリジナルだと思います)、そのアロハも王様に取り入りたいがために、はだかになってみんなの笑いものになるのですから、客席は大爆笑となります。
ですがそこは寺山修司。観客に、「だまされた王様が、本当におろかだったのか?」「本当の『正直さ』とは、目の前の事実である『王様ははだか』と指摘することなのか?」といった、けっこう哲学的な問題を投げかける形のエンディングを迎えるので、子供向けといってもあなどれない作品です。
■劇団四季『はだかの王様』劇中歌
『王様ははだかだ』
作詞=寺山修司 作曲=いずみたく
■劇団四季『はだかの王様』