世界最古のラブストーリーを、現代にリンクさせた『アイーダ』
劇団四季『アイーダ』より。(c)Disney 撮影:下坂敦俊
世界最古の三角関係を描いたオペラ『アイーダ』の物語を、『ライオンキング』のティム・ライス、エルトン・ジョンのコンビがミュージカル化。壮大なセット、人数で上演されることの多いオペラ版とは異なり、シンプルかつモダンな装置・衣装と粒ぞろいのナンバーで、主人公3人の恋心をじっくり、くっきり描き出します。
苦悩する彼らが最後に下す決断とは…? ラダメスのアイーダへの台詞「百回生まれ変わっても、君を探し出すよ…」、しびれます。古代の物語を現代に蘇らせる趣向のプロローグ&エピローグが、「肉体は滅んでも愛は永遠」なのだと、信じさせてくれます。
少女漫画×宝塚歌劇が生んだ名作『ベルサイユのばら』
フランス革命という歴史の大きなうねりの中で、愛と義に揺れる4人の男女…。社会現象ともなった池田理代子さんの大作漫画を立体化した宝塚歌劇団の舞台版は、74年の初演時から絶大な人気を誇ってきました。登場人物は、秘めた愛と仕事との板挟みに苦しむ男装の麗人オスカル、彼女を人知れず愛し続ける召使の息子アンドレ、「恋」を知らぬまま王家に嫁いだマリー・アントワネット、王妃との道ならぬ恋に苦悩する超紳士的な貴族フェルゼン…と、美しくも濃ゆいキャラ揃い。普通の俳優が演じたら「日本人にしか見えなくてがっかり…」となってしまうかもしれないところを、見目麗しい宝塚歌劇のスターたちが颯爽と、品よく演じることで、いともたやすく別世界へ。「愛~、それは~甘く~」の歌いだしで知られる「愛あればこそ」ほかの名曲に彩られ、ひととき濃厚な愛の世界にうっとりできます。
長編の原作を舞台化するにあたり、上演時の主演スターの個性などによって視点の異なる『オスカルとアンドレ編』『フェルゼンとアントワネット編』等、いくつかのヴァージョンが生まれていますが、この4月からは壮一帆さんのトップお披露目公演として、フェルゼンを主人公とした『フェルゼン編』が上演されます。
*宝塚歌劇雪組公演三井住友VISAカードシアター 宝塚グランドロマン『ベルサイユのばら フェルゼン編』2013年4月19日~5月27日(宝塚大劇場)、6月14日~7月21日(東京宝塚劇場)http://kageki.hankyu.co.jp/
変わり者だってプリンセスになれる!『美女と野獣』
劇団四季『美女と野獣』 (C) Disney 撮影:荒井健
周りがどうあれ、自分らしく生きるヒロインが幸福を掴んでゆく物語を、親しみやすいメロディと華麗なビジュアルで描いた本作は、恋愛下手の女性たちを「大丈夫!きっと『運命の人』との出会いはあるよ!」と強力に勇気づけてくれます。
奇跡が起こり、大団円となるエンディングは、絵本さながらの美しさ。たまにはふわふわドレスも着てみたくなる、「乙女心刺激ツボ」満載のミュージカルです。
*『美女と野獣』上演中~7月31日 北海道四季劇場 http://www.shiki.jp/
憂いと疾走感に満ちたフランス風『ロミオ&ジュリエット』
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』より
本作はこれを、それまで映画音楽やポップスを手掛けてきたフランス人、ジェラール・プレスギュルヴィックがミュージカル化したもので、フレンチミュージカルらしく、その旋律には独特の憂いが。若い恋人たちを見守る乳母のナンバーなど、大人のキャラクターの「きかせどころ」もありますが、若者たちのナンバーは概ね疾走感に満ち、観客たちを容易に、わずか5日間で出会い、恋に落ち、死んでいった恋人たちの物語へといざないます。
日本では宝塚歌劇団が2010年に『ロミオとジュリエット』のタイトルで初演、2012年にはフランス版の引っ越し公演も行われ、すっかり人気演目に。今年9月には2011年の上演で好評を博した城田優さんらの主演で、日本版の再演が予定されています。ロミオに終始妖しく絡みつくダンサー「死」を、フランス版では長身の女性が演じているのに対し、日本版では男性ダンサーが演じるのも見どころの一つです。
*『ロミオ&ジュリエット』2013年9月3日~10月5日(東急シアターオーブ)、10月12~27日(梅田芸術劇場大ホール)http://romeo-juliette.com/
観た後、きっとキスしたくなる『クレイジー・フォー・ユー』
劇団四季『クレイジー・フォー・ユー』撮影:下坂敦俊
西部の町に債権取り立てに来た銀行家のぼんぼんが、気の強い町娘に一目ぼれするものの、あえなくふられる。それなら、と今度は別人に変装してアタックするのですが、その人物本人が現れたことで状況はややこしくなり…。
音楽のみならず、スーザン・ストローマンによるアイディア満載の振付も大きな魅力ですが、特筆すべきはキス・シーンの多さ!主人公とヒロインはもちろん、この人とあの人も、あの人とあの人も…。数あるミュージカルの中でも、最多回数を誇る作品かもしれません。でも、いやらしさは微塵もなく、からりとお洒落な描写なのがアメリカ風。観終わったらきっと、あなたも…?!