LC-60HQ10はなぜ高値なのか。
なぜ、アクオスを名乗らないのか。
シャープの“ICC PURIOS”LC-60HQ10は何と262万5千円もします。昨年暮れ発売のアクオスの最新フラグシップ製品で、同じ画面サイズLC-60XL9が量販店で28万円くらいで売られていますから十台買える計算。十年前の薄型テレビ導入期なら、「高くてもいちばんいいテレビ持って来い!」というお客様がいましたが、今そういう奇特な人はいません。LC-60HQ10は掛け値なしにこの売価でしか作れないのです。
アクオスを名乗らないシャープの新しいフラグシップ、LC-60HQ10
シャープ東京広報に本機を取材した折に、LC-60HQ10の一ヶ月の製造台数をオフレコで教えてもらいましたが、家内制手工業かと思えるほど少ない台数に留まっています。製造というより個体ごとの調整に非常に時間が掛かるのだそう。
LC-60HQ10は画面解像度3840×2160の4Kテレビです。しかし、本機は単なる画面解像度の高密度化に止まらず、4Kパネルを手段と考え、テレビがこれから人間に何を見せ感受させるのかという一段高い領域を目指しました。長く親しまれた"アクオス”を名乗らなかったのは、シャープがリーディングメーカーとして牽引した液晶方式の上を行く製品だからです。
LC-60HQ10に搭載の60V4Kパネルはシャープ自社製です。4Kで先鞭を付けた東芝55X3、ソニー、東芝両社の84Vは共に搭載パネルは海外製でした。ただし、アクオスの上級機種で採用されるクアトロンではありません。Y(黄色)のサブピクセルを持つクアトロンを採用した場合、4Kでの画素密度が変わってしまうため今回は見送りました。
前面パネルの表面処理はXL9で採用したMOTH-EYEではありませんが、光沢でなく反射を拡散するタイプを採用し、明室で暗室並みのコントラストを得られることが特長。
さてここまででは、なぜ、新しいコンセプトの4Kテレビなのか、なぜ262万円なのか、なぜ60V型なのか、相変わらずチンプンカンプンだろうと思います。次のページでは“ICC PURIOS”のいわれになったICCについて紹介します。