子育て/子供のしつけ

躾(しつけ)でコミュニケーション(2ページ目)

躾けられないパパ・ママが増えているといいます。核家族化が進み、家庭内の躾の有り様も変わりつつある昨今。そんなパパやママの強い味方ともいうべきアプリの存在もクローズアップされたりしています。でも、ちょっと待ってください。それってもしかしたら、すごく勿体ないことをしているかも。本来躾とはなんであるのか、今一度考えてみませんか?

執筆者:青木 美惠子

品性の種を育てる、ということ

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日常習慣のなかでも確実に品性は育まれていきます

子どもの月齢が低いほど感覚的には動物に近く、相手の力量を見るために色々な「お試し」を仕掛けてきます。社会性を持って生活する動物の代表例として猿山をイメージしてみてください。猿は、強さによって猿山のボスが交代します。

また、ペットのワンちゃんであっても家の中で誰が一番強いかを瞬時に判断し相手が自分より力量が下であると判断したら絶対に従わないともいいます。躾という過程の中には、実はこの「誰があなたより力量が上であるのか」を教えるチャンスが隠れています。

わたしたちは動物にはない「理性」を持っています。そして「品性」というものを社会生活を送る上で備えていることが望ましいとされています。この「品性」を生むための小さな種が「躾」。家庭で行われる躾というのは、いってみたらこの種まきのようなものなのです。その種まきを、アプリの鬼に頼むというのはどうなんでしょうか?  たまの息抜きに奥の手として使うことまで咎めるつもりはありませんが、アプリがなければ躾ができない状況はこの種まき作業を鬼に任せきりにしていることになっているような気がします。

また、本当に問題が深刻化するのはお子さまが成長しアプリが通用しない年齢になってから起こります。この年齢というのは、言ってみたらそれまでの数年間家庭でまいてきた品性の種が発芽し、花を咲かせるために成長を始める時期。枝を剪定したり、養分を与えたりしてその品性をきちんと花咲かせる段階に入るのです。それまでの過程を鬼に頼りきりになっていたとしたら、一体どうやってその種を育て咲かせていいか、もはや判らなくなるのではないでしょうか?  なんの花の種か判らないものを育てる方法は、恐らく誰にも判らないと思います。

躾は、ひとつのコミュニケーション

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躾は大切なコミュニケーションのひとつだと知ってください

前段でも述べたように、躾というのは親子共同で大きな経験値を得るチャンス。動物的に相手の力量を判断した子ども。それでも、彼らは徐々に社会性を身に付け人間に近づいていきます。その過程の中で学ぶのが「コミュニケーション」。その方法としての言葉使いや所作に畑にまかれた「品性の種」の力を大いに発揮するのではないでしょうか? 

就園前にお友達を噛んではいけないと教えたり、暴力を奮って相手に対し自分の要求を通してはいけないことなどを教えることは立派な躾の一つです。それは同時に「人としてのコミュニケーションの取り方を教える」行為であり、その方法を教える親の教え方からも「人とのコミュニケーション」を学んでいるといえるのではないでしょうか?

そう、躾とは親子がより本当の親子に近づくためのとても重要なコミュニケーション。やがてそこに「親への評価」というものが盛り込まれてきて「うちの親は厳しかった」「親に怒られた記憶がない」などに直結していきます。躾を避けるということは、おおげさにいうとお子様と向き合うことを避けていること。親も、当然子ども時代を経験しています。ご自分が子どもの立場で考えたとき、躾をアプリに頼る親に育てられたら、いったいどんな気持ちになりますか?  「もし、いま自分が子どもの側だったとしたら」という発想は、ときに判断材料として大きな力を発揮するといえないでしょうか。

子育ては綺麗なことばかりではないです。ときにうんざりもするし、可愛いはずの我が子がどうしょうもない存在に思えてしまうこともよくあること。それでも、そこと真っ直ぐに向き合ったからこそ生まれる親子の絆があるのもまた事実。「躾だから」「外に行って周りからいろいろ言われてしまうのが嫌だから」と構えないで、親子で絆を作っていくためのコミュニケーションを楽しんでいると思い、肩の力を抜いてみてください。そして、ご家庭の常識に少し世間と違うところがあるとしても、ある程度のことであれば成長した子どもが自分の人生に不具合がないように矯正していく力を持っていると考えてください。

ガチガチに親子で窮屈な関係を作ってしまったり、反対に子どもに対し色々な思いを抱いて安易になにかに頼ってしまうよりも、絆を作りより本当の親子になるための経験を積んでいるくらいに考えて、躾から生まれるコミュニケーションを楽しんでみることをお薦めします。
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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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